Update:201309.17TueCategory : 旅

英国サーフィン後編。トリップは「サーフへの思いは万国共通」だと知るツール



 イギリスの都市と聞いて、多くの人は大都市ロンドンを思い浮かべるのだろう。音楽好きやフットボール好きならマンチェスターやリバプールが馴染みの都市。街の名前ではないけれど、田園風景に憧れ湖水地方をあげる人もいると思う。そうしたなかでニューキーをあげる人は間違いなく希少。かつ、サーフィンを目的に日本からイギリスを訪れようと思う人はマイノリティーだと思っていい。

 ロンドンから空路で1時間ほど。陸路だとおよそ8時間もかかるだけに、ニューキーは日本人にとってはどうしたって遠い場所となる。実際、1週間ほどの滞在で見かけた日本人はゼロ。アジア人も見かけなかった。ただニューキーのあるコーンウォール地方は自然の豊かさと歴史深い風景が有名で、観光局のスタッフによれば日本のテレビ局の取材クルーが長く滞在していたという。観光地としては、なかなかのポテンシャルをもつ土地ということになる。

 とはいえ、英国きってのサーフタウンも、日本のプロサーファーでさえ大会で訪れたことがある程度。ヨーロッパの主要サーフ国といえば大陸側のフランスやスペインとなってくる。やっぱり日本のサーファーにヨーロッパは遠い物理的にも精神的にも遠く、少ない休みを使って的確に波を当てるなら、ハワイやインドネシア、カリフォルニア、オーストラリアがディスティネーションとしては常識的。けれど、この“常識的”というのがクセモノ。人とは違うことに興味を示すのがサーファーの性だとするならば、波をヒットさせる可能性が高い場所ばかりにしか行かないのはいかがなものか、という疑問が生まれる。他を知って、改めて良さを再確認する。そうした真理もあるのだから。

 ニューキーを含むコーンウォールに関して間違いない事実は、波がある、ということ。サーファーはいて、サーフ誌もある。独自のカルチャーを形成しようとするローカルコミュニティーさえ育ちつつある。この事実に想像力が働くか否かで、サーフィンによってもたらされる楽しみの幅は変わってくる。しかも旅に出るのはサーファーの本能。遥か遠い場所で割れる波を思い、想像力をかき立てるのはサーファーの習性。そこにイギリスの波が入り込む余地はないとする理由はない。

 パーフェクトな波にあたらなくても、同じラインナップにいる英国サーファーに「どこから来たの?」と声をかけられたり、恰幅のよいお父さん風の人たちがこぞってサーフスクールを真面目に受けている光景などを目にするだけで、サーフィンが与えてくれるフィーリングはグローバルな心地よさなのだと理解できる。たとえ英語を話すことはできないとしても、こんなに遠く離れた場所とつながっていると実感することが、簡単にできるのである。

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