Update:201408.10SunCategory : BLUERマガジン

冷え性克服!夏は「かゆ」で胃腸をととのえる(#2皮蛋粥)


連載2回目は「皮蛋粥(ピータンがゆ)」。ギンギンの冷房にドリンク、キンキンに冷えたのスィーツと、いかにも体の冷え&胃腸も弱っている方が多いかもしれません。胃腸の疲労は免疫力の低下につながります。そんな時こそ「おかゆ」です。

胃腸をととのえ、ダイエットにもなり、女性にとっては体を冷やさず子宮の冷えを防止。体の調子が良いと精神的にもリカバリーしてきます。

前回の「小豆粥」(※第1回目にリンク)はおかげさまで大好評。”おかゆ評論家”という聞き慣れない肩書きを含めて珍しかったのか、多くの反応をいただきました。ありがとうございます。3年前に十二指腸潰瘍や逆流性食道炎などの消化器系の病気を一度に”5つ”も患いまして、その治療に使ったのが「おかゆ」です。

十二指腸潰瘍の原因はピロリ菌だったために、現代の医療は「薬」による除菌で治ります。医師からは「特に食事は今までどおりでいいですよ。消化に良いも悪いも、ピロリ菌の除菌次第ですから食事はほぼ関係ありませんので!」との意外なお達し。「え?治療中に消化に悪いものも食べていいんですか?」と聞くと、「はい、菌の問題なので関係ありませんので」という冷たいご返答。

なんとも、ピロリ菌による十二指腸潰瘍の治療は、胃に優しいものを食べようが食べまい、まったく関係ないとも知って驚いたわけです。

とはいえ十二指腸のみならず、消化器系や体のために暴飲暴食に無類の激辛好き、胃酸が出やすいコーヒーも大好き、甘党と、胃腸には良くないことばかりを何十年もやってきた自分としては、折角のこの機会にすべての刺激物や甘味をお休みし、胃に優しい「おかゆ」を主として過ごした半年間。それによって実に体調が良くなり、血色や肌の調子も良くなり、まさに食の重要性を体験にもって学んだわけです。

体は日々の食べ物から作られ、良い食品は健康な体と精神を作る、のです。

さて前置きが長くなりましたが前回の「小豆粥」は日本でも食べる風習のある地域があり歴史も長いのですが、隣国の韓国でも韓国薬膳の見地から「小豆粥」を食べる風習があります。そして今回の「皮蛋粥」は、まさしく中国ですね。

皮蛋(ピータン)が苦手な方は多いと思います。皮蛋(ピータン)というと中華料理の前菜にカットしたものが出てくるのが多いです。しかし皮蛋はおそらくお粥みたいなものに混ぜて食べるのが日本人にとってはベター。食べ易いかもしれません。それに「おかゆ」と皮蛋は実に合います。本場でも定番の1つといえるでしょう。

写真の「皮蛋粥」は、おかゆを炊き上げたあと片手鍋に1回分のお粥と皮蛋のザク切りを入れて、一緒に煮込んでしまいます。1分くらい軽く火を通し塩で味を整えればOKです。写真でもほとんど皮蛋の本体が見えていませんが、本場の中国ではお粥の上に何か具材を乗せる、という盛りつけはなく、フィニッシュの段階で具材を一緒に煮込んでしまいますので、テーブルにサーブされて出てくる際には、写真のように白い粥でしかありません。スプーンですくい上げると、器の底からたっぷりの具材が出てくる感じですね。

また中国では皮蛋の単品のお粥はほどんど見かけません。また次回以降、出てきますが、「豚肉」と「皮蛋」の具材をお粥に混ぜるパターンが一般的なようです。要は、お肉とか魚を「おかゆ」の食材として使うのが一般的です。日本人だとちょっと想像しがたいですね。今回の私のレシピでは、シンプルに皮蛋のみにしました。

さて、前回の「小豆粥」は賞味1時間くらいしか米と小豆を煮込んでいませんが、今回は2〜3時間煮込みます。台湾や日本では、米の粒がかなり残りますが、中国それも広東方面のお粥は、ほとんど粒の形状が残りません。東南アジア系は地域差がありますが、ほぼ糊状のお粥は広東式つまり香港流ともいえます。私はこの粒形状の皆無な、ほぼ液体のお粥がもっとも好きです。

この粒無し。日本の粥との最大の違いは「ダシ」です。

日本は米と水で炊いて、あとは梅干しや「おかか」など、主に病気時に食べますが、この香港の粥などは日常的に食べられ「ダシ」が命です。中華料理はダシという印象がないかもしれませんが、こと「おかゆ」は「ダシ」なしに語ることができません。「お粥評論家」などと私が名乗る所以は、この「ダシ」の研究に時間を要したからです。おそらく、誰よりもお粥を食べまくっている私ですが、この「ダシ」がその店の味を決めます。

今回のダシは「貝柱」ですが香港系ですと豚骨も使いますし干牡蠣や腐竹(湯葉みたいなもの)がダシに使われるケースが多いようです。
さて今回のレシピです。

<レシピ>2~3人前

貝柱2個(大きめ)
ネギ(青い部分5センチ)
ショウガ2〜3スライス
米100g
油大さじ1
水2.4リットル
塩(お好み)
皮蛋(1個)
※4人以上の場合は米200に対して水を3.7ℓ程度で設定、貝柱は3〜4個。相当量の水を使いますので、普通の小さい鍋では無理です(笑)。具材の皮蛋は2個程度が良いです。

<作り方>
●前日
貝柱を水に入れて戻しておく。500ccくらいの水で十分。

●当日
1)米は洗ってザルにあげておく。その後、油大さじ1を米に混ぜて少し置いておく。
2)水と前日から戻した貝柱繊維をキレイにほぐし、戻し汁とともにネギの青い部分とショウガを入れ沸騰させる。
3)2)の鍋が沸騰したら、1)の米を入れて10分間、強火で煮立たせる。
この強火が重要。これをやると米が弾けて華が咲く、と言われる状態になる。
3)ネギとショウガを取り出す。
4)10分したら弱火にして、ひたすらに2〜3時間煮込む。
5)炊きあがった「おかゆ」を食べる分だけ、片手鍋に映して、少し水をたして好みの濃度に調整。皮蛋をザク切りにして、鍋に投入。ここで塩が足りないと感じたらお好みで追加。1分くらいに煮込んでFINISH!

さて。米粒がなくなるまで煮込むって、結構な時間がかりますが、焦げ付きさえ防げれば、あとは放置です。注意点としては、あまりかき混ぜないこと。底に焦げ付いてしまうので、混ぜる場合は常に同じ方向に混ぜます。私は焦げ付かない「おかゆ」に最適な鍋を見つけて重宝しています。また、途中、水分が少ないと感じたらどんどん水をたしてください。家庭のガスや電気の具合で水分の飛び方が違います。多いかな?と心配になる位に途中で水を追加しても全然大丈夫です。


ちなみに、この器なのですが美濃「鶴琳窯(かくりんがま)」の手焼陶器。デニムっぽくもあり、一目惚れして購入しました。
1人前の「おかゆ」にベスト。スープもに合いそうな鮮やかなBLUEです。

ではでは、次回、第3回目をお楽しみに。