「津波が来たら高いところへ逃げるプロジェクト」防災イベント取材報告!
いま津波が来たら、どこへ逃げるか、準備はできていますか?
なんとも心に刺さるコピーで始まるこの防災イベントは、なみある?オフィスのある鎌倉市で昨年から始まり、地域有志が企画し、市が後援につき、地域企業や個人協賛による支援で成り立つイベントです。
なみある?は昨年は協賛のみでしたが、今年はスタッフが参加しつつ取材もして参りました。
昨年より始まったこのプロジェクトでは、津波に対する問題意識を高めるため、鎌倉市の生涯学習センターや郵便局の壁面に津波が来た際にどのような状況になるか想定した視覚的にやや刺激のある被災シートを貼るモニュメント展示や、東北を支援する物産展、防災グッズの紹介に加え、今年は関東大震災を体験した103歳のおじいちゃんの話が聴ける「シンポジウ ム」、様々なシチュエーションで津波避難を検証する「逃げ道実験レポート」など、様々な防災イベントが行われました。
また、なみある?が作成した巨大津波からサーファーを守るための心得チラシや、ボウサイダーなるサイダーも無料配布されるなど、人通りも多い会場周辺は大盛況。
また、海の情報を発信するなみある?として、津波避難を検証する逃げ道実験も体験取材して参りました。これは、山へ逃げる実験、車いすの人と逃げる実験、ベビーカーで逃げる実験、老人をおんぶして逃げる実験、観光客が知らない土地で逃げる実験などを実際に検証するものなのですが、結果として教訓や今後の課題を肌で感じることが出来ましたので一部紹介させていただきます。
山へ逃げる実験
鎌倉は山に囲まれているので逃げやすいかというと、山までの道のりは平坦で早く辿り着かないと津波の被害を受け易いことや、目指す山と指定避難場所が反対方向であったり、観光地で通りに人が多いため実際の震災時は路上がパニックが起こるのではないかなど様々なことを感じながらの疾走となりました。
また、安全な高さに到達するまで12~13分走り続けたものの、これは普段から走り慣れていないとかなり厳しいルートだということも確認出来ました。
車いすの人と逃げる実験
実際に普段から押すことに慣れていないと、いざ急いで押していくことは難しい。
ベビーカーで逃げる実験
何とか避難場所にはたどり着いたものの、避難の方法としてベビーカーはお勧めではないという話もあるなど。実際にやってみたからこそ届く声も聞くことが出来ました。
老人をおんぶして逃げる実験
実際にやってみるとおんぶ姿勢にコツがいることなど学びは多かったが、実際問題かなりキツくこのスタイルでの非難は無理ではないかなど、体験者から得られる生の成果は今後に活かせるものとなりそうです。
観光客が知らない土地で逃げる実験
知らない土地で避難することがいかに大変か、避難表示の少ない地域で逃げることがいかに負担か、実際に由比ヶ浜から本気で規定時間の20分間走り続けた体験者が山にたどり着き登り始めたのは最後の1分。体験後はスタッフ一同立ち上がれないほどの疲労で教訓満載の実験となりました
この逃げ道実験。
正しい逃げ方なるものを検証するものではないので、今回試された手法も専門家から見れば間違いだらけかもしれません。しかし、老若男女 地域住民が集まり考えた手法を実際に試してみる。そこから感じた想いでまた次を考える。自然と “みんなで検証して、また次やってみよう”そんな流れが生まれる実験。
今の防災面で課題山積の鎌倉には、この実験を通して地域の人の繋がりやアイディアが生まれてく流れが本当に素晴らしいものだと感じました。
来年は実際に海にいるサーファーが、地震発生と同時に避難するという実験を企画しており、なみある?として全面協力予定です。そして、来年もしくは再来年には本物の津波避難訓練実施に繋げていくという計画まで生まれていますので、また来年実績をご報告致します!