サーフタウン千葉・一宮を楽しむ週末ガイド#02
今注目のスポットが千葉の一宮(いちのみや)エリア。都会からの移住組みも増え、ショップやレストラン、施設も充実し、海での時間以外も存分に楽しむことができるサーフタウン。日帰り派にもショートステイ派にも、いっそうの充実感を与えてくれるエリアとしてさらに進化中だ。
01. パタゴニアサーフ千葉
一宮エリアのランドマーク『パタゴニアサーフ千葉』。一宮カルチャーの発信地として存在感を増している。
スタート時は少なかった人出も午後になるにつれて増えていく。サーフ後に立ち寄る人も多々。食し、くつろぎ、のんびり過ごして帰路につく。
豊富な品揃えが特徴。サーフムービー上映会などイベントも頻繁に企画され、またライダー陣の来日時にはその多くが顔を出す。
今や一宮エリアのランドマークとなった『パタゴニアサーフ千葉』。ゆったりと構えた店構えのため、心ゆくまでゆっくりとショッピングを楽しむことができる。
パタゴニアサーフ千葉
〒299−4303
千葉県長生郡一宮町東浪見7404
●営業時間
5〜6月:9時〜18時
7〜9月:9時〜19時
10〜4月:10時〜18時
●定休日
年末年始
02. 炭火庭 岬
鮮度バツグンのお肉を安価で提供する『炭火庭 岬』は、焼き肉不毛の地に出現した貴重なオアシス。日本屈指のプロサーファー、田中樹プロが経営するこだわりの焼き肉屋なのだ。
一宮エリアから外れるものの、太東から国道128号線をわずか南下した場所にあるのが『炭火庭 岬』。日本チャンピオンにも輝いたトッププロサーファー、田中樹さんが経営する焼き肉屋だ。隣接する複合商業施設の岬ショッピングガーデンやマクドナルドが目印。国道を挟んで外房の農産物を直売するごじゃ箱がある。
「美味しいお肉が食べたいと思っていたことがオープンした大きな理由です。このエリア(一宮・いすみ)には焼き肉屋さんが少ないんですよ。都内のお店に比べても負けない鮮度で、安く提供するのが特徴ですね。地元のプロサーファーをはじめ、ローカルの人によく利用してもらっています」
樹さんの言葉を聞くと、地元が楽しい生活が一番というように思えてくる。実際に『炭火庭 岬』は地元の人が足繁く通う店で、リピーターが多いという。同じく一宮エリアで育ち、現在ハワイを拠点としている田嶋鉄兵プロも、帰国の際にはよく顔を出し、むかし話に花を咲かせ、熱く未来の話を交わすというから、知人が集える場をつくり出したという見方もできる。
こだわりは分厚く切った厚切りタン塩やホルモン各種。マルチョウ、シロコロなども味わえる。カルビ、ロース、ハラミなどお約束のメニューはどれも肉厚で、ほおばるたびに口の中は肉汁で満たされる。新鮮なお肉と過ごすなんとも至福の時間。それが焼き肉不毛の地だった一宮〜いすみエリアで楽しめるようになった。
定休日は水曜日。だから木曜はフレッシュなお肉に出会えるチャンスというのは、当然ながら裏事情に詳しい樹さん。ビジターもウェルカム。海や山で遊んでお腹を空かせ、シメを美味な肉と過ごしてゴージャスな週末をメイクしたいものだ。
炭火庭 岬
〒299−4615 千葉県いすみ市岬町井沢1863−1
電話:0470−80−3222
自身が肉好きで、地元で美味しい焼き肉を食べたいというパッションから誕生した『炭火庭 岬』。地元の人に愛される庶民的な焼き肉屋さんだ。
千葉の海で育ち、日本チャンピオンに輝き、海外をフィールドに活躍する田中樹さん。『炭火庭 岬』には、自分と友達がくつろげる場としての思いも込められている。
生ビールをはじめアルコール類も豊富に揃える。焼酎もこだわりのセレクション!
自慢の厚切りのタン潮。歯ごたえ、食べごたえは半端ナシ!
王道のカルビ、ロースも新鮮でジューシー。ひと噛みすれば、たっぷりの肉汁が口内に広がっていく。
この場所だからこその割安感。たっぷりと遊んだ後には、たっぷりと腹ごしらえ。焼き過ぎず、ナマ焼け過ぎず、美味しいお肉を食してください。
03. 釣ヶ崎広場(志田下)
サーフィン界に数々の日本チャンピオンを輩出してきた志田下の路面が整備された。その背景には、サーフィンが染み込んだ土地柄ならではのストーリーがあった。
「志田下という場所は、サーファーだけの場所ではないんです」と、九十九里の南端近く、サーファーでは『志田下』が通り名となっている『釣ヶ崎海岸』で海を見ながら、鵜沢清永さんはいう。目の前の海ではサーファーが波に乗り、その手前で漁師が地引き網を引いていた。つまり『志田下』とは、サーファーにとっての名スポットであるだけでなく、地元の漁師の生活の場、そして祭典場でもある。
「『志田下』は海水浴場ではありません。地元の人にとっては1200年以上の歴史を持つ上総十二社祭りがおこなわれる神聖な場なのです」という鵜沢さんは、一宮町で育ち、『釣ヶ崎海岸』を庭のようにして育っていった。今では『リーズサースショップ』を経営し、一宮町議会議員として地元の活性化に力を注いでいるから事情には詳しい。
上総十二社祭りは807年頃にはじまったといわれる。無形民俗文化財に指定されていて、毎年9月8日から14日を期間に、13日には神輿を担いだ人たちが裸に近い姿で波打ち際を駆け抜ける。海岸に鳥居があるのはそうした土地柄を背景とする。
そして、かつては整地してもデコボコになってしまっていた『志田下』の路面が整備された理由について、鵜沢さんは一台の乗用車をきっかけとした。あるとき車高の低い乗用車が未舗装のため路面の凹凸が激しい『志田下』へと入っていき、車高の低さが影響してバンパーを破損。怒ったドライバーは敷地を管理する千葉県を相手に訴訟をおこし、勝訴を得たというのだ。
本来なくてもいいトラブルが起きたのは場を開放しているからだ。一般車両の侵入を禁止したらどうか。判決を受け、そのような声が県からあがった。しかし、すべての事情を理解しながら、鵜沢さんたち『志田下』で育った地元のサーファーは「待った」の声をかけた。一般車両の進入禁止はサーファーの排除を意味するためだ。
「一宮町にとってサーファーがどれだけ重要な存在かを問いかけました。一宮町のキャッチフレーズは“緑と海と太陽のまち”。日々多くのサーファーが訪れ、移り住む人は震災後も増えている。それほどサーファーに人気の土地であることは経済的にも示されています。もし町が海を大切にしなくなれば、彼らは素通りしてしまう。そのような結果になってもいいのでしょうかと訴えました。一宮町にとって海は大切にすべき地域資源なんです」
広場であるのは海水浴場でも駐車場でもないことを示す。この場を利用するすべての人のために、自治体が開放している場所なのである。この点を利用者には忘れないでほしいと鵜沢さんはいう。そうして実情がキャッピコピーにフィットするように環境を変えていきたいとも明かす。その第一歩が『釣ヶ崎広場』の整備であり、引き続き生まれ育った場所を海が輝く町に再生したいと考えている。
キレイに整備された志田下こと釣ヶ崎海岸は、祭りを愛する地元の人と、漁師、サーファーが混在する場所。
良い波はサーファーを育てる。その金言の通りに『志田下』は、日本チャンピオン、世界に通用するサーファーを次々と輩出してきた。
未舗装のため凹凸が目立った駐車場はきれいになった。すべては海の時間を楽しむ人たちのため。ルールとマナーは守って利用して欲しいというのは鵜沢さん。
まさにこの写真が示しているのが『志田下』の素顔。
黄色のサーフボードはビッグウェイブ用のガン。
『リーズサーフショップ』は東浪見海岸と志田下の間に位置。公務がない時にはショップが居場所となる。
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http://www.bluer.co/surfingnews/?p=25864
※2013年取材記事が好評につき、再掲載しています。