Update:201511.14SatCategory : BLUERマガジン

柴犬ラニと海のストーリー#05|Happy Birthday edition

柴犬ラニと海のストーリー
♯05 Happy Birthday edition

Text by Yoshishiro "Moo" Kitamura

ラニさん、8歳の誕生日おめでとうございます。

犬年齢で言えば一生の折り返し過ぎた年齢でしょうか。

ここでラニと自分の今までのライフスタイルエピソードを話そうと思います。

2007年11月14日ラニは東京下町で生まれました。

昔から柴犬を飼いたいと思い、タイミングで知合いのブリーダーさんに子供が生まれ、見に行き引き取りました。
最初はムダ吠えはするしウンチは服の上でするし、かなりのヤンチャでした。

柴犬は基本的に猟犬であり番犬になる強い犬で非常に賢い犬種です。そんな犬種をしっかりしつけようと考えました。子供のうちに半ば虐待ではないかくらいのしつけを行いました。ラニは物覚えも早く徐々に服従するようになり決して自分を逆らわない裏切らない良い子に育ちました。

飼い始めてから海にも一緒に連れて行き、常に24時間行動を共にするスタイルが始まったのです。

今では、ラニなしの生活は考えられません。

初めはペットの犬と思っていたのが、今では何をするにもラニが気がかりで仕方がなく2〜3時間離れるのもつらいと感じる日々になってしまったのです。
そして、気がつけばペットではなく家族と思うようになりました。

なぜ、そんな感情が出てしまったのかは、楽しい時も、悲しい時も、つらい時もどんな時でも自分のそばにいて顔をジッと見ていて状況を判断しているラニの顔があるからです。

ワンとも言わず言葉もなく、ただジッと見つめてくれている。ラニ自身も24時間、自分の顔色を見ていれば、主人がどんな心境なのか静かに分析が出来ているのでしょう。

そんなラニは、自分にとって唯一気持ちがわかる家族になったんです。

その時の状況で励ましてくれたり、和ませてくれたりします。

そもそも、犬を飼ってる方なら分かると思いますが犬は絶対飼主を裏切りません。犬は飼主に絶対服従なのです。

そんな犬の知識を自分が学んできている時、事件が起きます。

ラニは全速力で走るのが大好きです。2歳になる頃、自転車に乗ってラニを走らせていました。今では自転車で散歩なんて考えられない危険行為です。
かなり走って、あと少しのところで家という距離にさしかかった時、突然ラニが立ち止まりました。

「ん?どした?」自分はグイッと引っ張りますが走りたくないという顔で立ち止まったまま。

最初は全力疾走で疲れたのかなと思い、あと少しだからゆっくり走って行こうと、また強引に引っ張ったらヨタヨタ走り出しました。しかし5mほど走ると、また止まり「もう嫌だ!」という顔。次の瞬間、片足を持ち上げて痛いのジェスチャー。

そばに行って足を見てあげることにしました。
すると初めは嫌がって足の裏を見せようとしません。無理やり足をつかんで足裏をチェックしたところ、なんと、恐ろしいことに肉球にガビョウが刺さっているのです。

すぐに抜いてとった次の瞬間、自分はラニを強く抱きしめていました。

ガビョウが刺さった時、普通の犬なら「キャン!」とか鳴くのにラニは黙っていた。なんて幼気な子なんだ!迷惑をかけたくないということなのか?複雑な心境に胸が痛くなりました。

自分はショックでした。

なぜなら最初に立ち止まった時、あと少しだからと言って小さなサインを見逃したから。

強引に引っ張り走らせた事。
この時すでにガビョウが刺さっていた事。
普段から多少の痛い事も我慢するラニの性格を知っていたにもかかわらず、どうして最初のサインを見逃したのかという事。

自分が情けなくなった。飼主失格。

もし自分自身が裸足で歩いていてガビョウを踏んだら声をはりあげる事だろう。更に刺さったまま5mも無理やり走らされたらどうだろう。

自分がラニの考えや気持ちを、わかってあげられなかった事が、この後、深い反省と自分への憎悪が込み上げてきてしまった。

今現在も、この事件が自分の胸奥深く残っていて、この先ラニを一生かけてガビョウ事件をつぐなうつもりだ。

そんなのラニは気にしてないよと言われるが、自分の行為が今なおムカついてならないので、そうするつもりでいる。

それ以後、夢中だったサーフィンよりもラニが優先になった。

コンテストの時も絶対的な信頼のできるパートナーがいたから、ラニも自分も安心して留守番をさせる事もできた。

しかし、信頼していたパートナーがいなくなった今は自分1人がしっかりラニを見ていてあげないといけない。正直かなり大変である。「ちょっと見てて!」ができないから。

友人に「見ててあげるよ」と言われても、ラニさん自身が信頼ある相手でないと落ち着かない性格。

今は仕方がない。自分の体の一部とも思えるラニさんだから。

存在そのものが家族以上の自分の心の支えでもあるラニさん。

ここ数年無駄な外出も減少した。

最優先がラニさんだから連れて行けない場所には自分も行かなくなってしまった。この先も24時間監視される運命だが、それもラニさんと歩むには楽しい時間だろう。

犬の人生は短い。

そして、犬は人間のように裏切らない。ラニさんには長生きしてもらう。

なぜなら今の自分はラニさんがいなければ廃人になってしまうから。

これから先も、自分とラニは同じ時間や瞬間を過ごしていきます。

どんな犬よりもたくさんの旅をさせ、どんな犬よりも楽しい時間を一緒に過ごさせてあげ、どんな犬よりも幸せな一生を過ごさせてあげようと思っている。

この先は、共に生きる人生の1分1秒も無駄にしたくない。ラニさんの人生は自分の人生でもあるのだから。

これからもどこかでラニさん見かけたら遊んでくださいね!

長い文章になりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。

Lani & Moo