Update:201511.17TueCategory : BLUERマガジン

[連載第1回]海のあるくらし|茅ヶ崎市

[連載第1回]海のあるくらし
茅ヶ崎市 
Text by Yumi Hasegawa

湘南といえば、江ノ島と茅ヶ崎。
サザンオールスターズのおかげか
茅ヶ崎が湘南の代名詞のようなところがある。

子どもをもってから引っ越してくる家族も多い街。
ほんとうにブランドイメージは
合致しているのかといえば

実体は違うようだ。

本当は、茅ヶ崎は田舎。

それほどオシャレでもなく、観光客が来るような場所も少なく、目玉商品もない、と、茅ヶ崎に住んでいる人たちは言う。

けれども、ここが好き。

都会にならなくていいし、観光でうるさくならなくていい。ゆるいのが好き。

とも、茅ヶ崎に住んでいる人たちは言う。

 (画像:茅ヶ崎海岸ヘッドランド)

もともとブランド力があったのか、あとからブランドを作ったのか?

明治時代、湘南地域は外国人や政府要人の別荘地として開発が始まった。

一流の別荘地は、山があり北風を遮って温暖な大磯。

相模灘に向かって、さえぎるモノなく平坦地が続く、茅ヶ崎は別荘地としては二流地だったという。

だからこそ、警護、監視の厳しい政界トップの総理や、軍人のトップ大将などよりも、役者や学者、中将クラスが別荘を持った。

西洋に負けまいと新しい芸術運動や学術運動を担う彼らは、自由におおらかに活動して、田舎のくせに、どこか世界に通じているような気風が生まれたのかもしれない。

 (画像:地引網の釜揚げしらす)

茅ヶ崎は、決して「遊ばせてくれる」街ではない。

けれど、自分から何かをやろうとして、満喫している人は多い。

代表的なのは、マリンスポーツを目当てに、引っ越してくる人だろうか。

ウィークデイは、朝早く電車に乗って、夜まで仕事
ウィークエンドは、思いっきり地元活動を楽しむ
そんな人も多い。

 (画像:茅ヶ崎パーク)

大勢の中で争うのではなく、自分の歩幅で自分を磨く、それを楽しむ、仲間ができるといった、無理のないくらし方。

それは、画一的な良質ではなくて、自分になじんだ良質。

だから居心地がいい。

 (画像:自転車安全運転オリジナルプレート)

駅で電車を降りた瞬間、ほっとする。嬉しくなると口にする人が多い茅ヶ崎。

ブランドを超えた日常は、自分から生まれてきている。