Update:201602.16TueCategory : BLUERマガジン

100年先の海岸 ー「ありたい姿」を求めて


湘南茅ヶ崎海岸の侵食は、ご多聞にもれず30年くらいの間に一気に進んだ。

「馬入(相模川)の河口あたりじゃ、ハマグリがゴロゴロとれた。両手で砂をすくえば、両手いっぱいの貝だった」
ちょっと昔の浜を知る人からよく聴く話だ。正確にはハマグリではないそうなのだが。

浜の砂同様、貝がザクザクとれるなんていうこともなくなった。
貝殻の姿さえ、本当に小粒なものばかり。それも多くはない。

相模川が、その流域に蓄えてきた「川砂」は高度成長の時代に、良質な建材として運び出されてビルになった。実に240年分にあたる川砂が失われたと言われている。
そしてダムができ、突堤ができ、砂の供給は止まったも同然になったのである。

 侵食対策で入れた砂も削られ土台があらわになってしまった

では、どのように取り戻すのか?

1985年「湘南なぎさプラン」策定時に指摘された問題の解決に向け、1990年に相模湾沿岸一帯で開催されたイベント「サーフ90」の流れは、ライフセービングクラブをはじめ、現在も市民活動として根付いている。

活動団体の方をゲストに、私が主宰するニコ生「ゆみちゃんねる」で海岸侵食に関する特集番組を放送した。

 10年計画の10年目の砂が入れられる

昨年開催された海岸見学会の模様などをもとに、トークを進めた。
データによると、日本の海岸線には、港湾が約1000箇所、漁港が約3000箇所ある。8.4キロごとに、海に突き出た建造物があるのだ。もし、これらがなかったら、砂は浜に沿って移動できるということでもある。

「100年先の姿を求めていこうよ」
約1時間のトーク番組は、こんな言葉で、しめくくられた。

今すぐ、海の人工構造物を無くせ、というのではない。
世の中の産業と、技術が進んだから、浜は削られた。

だから、これからの100年かけて、世の中が変わり、技術によって、これらの「堰(せき)」を不要にできるのかもしれない。
目の前の要求だけではなく、100年先に「こうありたいという姿」を求めていくべきだ。

 海岸線に続くボードウォークは侵食ロードでもある

茅ヶ崎の浜で、行われる数々のイベント、あるいは定期的なビーチクリーンなどの中に、「こうありたい姿」は、いつも投影され、静かに粘り強く声を上げ続けている。
ぜひ、この声に耳を澄まし、あなたの声もあわせていただけることを願っている。

関連記事:
痩せ細る浜|湘南、海岸侵食の現状
http://www.bluer.co/surfingnews/?p=37872

出典:
ニコ生「ゆみちゃんねる」
毎週木曜日22時から30分間、「茅ヶ崎」に関する話題をとりあげ視聴者からのコメントとお話しをしながら進める参加型番組。

「茅ヶ崎の海のことを取り上げた1時間スペシャル」ゆみちゃんねる(YouTube)

https://www.youtube.com/

「ほのぼのビーチフェスティバル」

http://honobono.i-shimin.net