遂にスレーターデザインの真相が明らかに!【ダニエル・トムソンインタビュー】
サーフボードの話題で何かと世間を騒がしているのは、ケリー・スレーターと2人のシェイパーによって共同開発された「Slater Designs(スレーターデザインズ)」。
2/16(火)〜2/18(木)までみなとみらいのパシフィコ横浜にて開催されたインタースタイルで国内初お披露目となった。
現在、3つのモデルが発表されている。左からグレッグ・ウェイバーとケリーが開発した”BANANA”、ダニエル・トムソンと開発した”SCI-FI”と”OMNI”だ。
GREG WEBBER/THE BANANA
このボードはShane Herring(シェーン・ヘリング)のサーフィンをインスパイアされ、90年代初頭にウェバーとシェーンによって開発されたデザイン。ケリーとグレッグが中級〜上級サーファー向けに開発し、アベレージ以上の波で乗ることを推奨している。
BANANAモデルはノーズからテールまでの曲線的アウトラインで、フィンの前方に僅かなバンプウィングを持ち、ボトム形状はシングル・トゥ・ダブルコンケーブとなっている。これによりディープなバレルでのターンも、ホールド性を維持しハードにプッシュ出来るハイパフォーマンスボードだ。
DANIEL “TOMO” THOMSON/SCI-PHI
古典的なアウトラインと現在的ロッカーそして未来的流体力学の原則を組み合わせたモデル。加速や瞬時のレスポンスなど全てのレベルにおいてパフォーマンス性を発揮してくれる。
どちらかと言えばフラットに近いロッカーと、バッドテイルのような複雑性、そしてテールとボトムの程よいカーブラインによりマニューバー性に優れている。ケリーは大波でクワッドフィンを好んで使用している。
DANIEL “TOMO” THOMSON/OMNI
ケリーのパフォーマンステールとTOMOの現在のデザインを綺麗にまとめた機能美を兼ね備えたオールランダーモデル。
一見小波用ボードに見えるが、頭オーバー(5フィート)までの波でライド可能。このテール形状がよりスピード性に優れ、波のフェイスへよりプッシュできパフォーマンス性に優れている。
ケリーは頭〜頭オーバーでパンチのあるフェイスの張った波を好んで使用する。
ダニエル・トムソンの板”TOMO”(右の2枚)は、ゴールドコーストで開催された2015CT#1クイックシルバープロで王者ケリーが乗った事で知っている方も多いはず。
そんな話題沸騰中のダニエルからインタビューを伺いました。
ボードシェイプする過程で黄金比が使われているって聞いたけど、どういう事?
僕のボードは従来のボードに比べ、変わった形が多いんだ。全てではないけど、レールカーブの一部に黄金比(約5:8)の理論が用いられているんだ。
黄金比っていうのは、例えば自然界の巻き貝の螺旋模様などにも用いられていて、形が最も美しく見える比なんだ。
その模様を元にして小さいセグメントに分け、それをレールに反映してるんだよ。
レールのカーブラインは螺旋模様をベースに作ってるんだ。また黄金比を利用する事で回転の負荷を減らす事もできるんだよ。
このケリーのロゴの意味わかるかい?
ケリーがデザインしたものだよ。彼のブランドだからね。だけどスレーターの”S”がモチーフになっているのは間違いないよ。僕はシェイパーだから詳しい事は分からないけどね。
ケリーと仕事をしてみてどうだい?
凄い楽しませてもらってるよ。毎回最高のフィードバックを受けると同時に、ケリーと一緒に板を作る事でまた新たな発見があるんだ。僕の思いもよらない領域に連れてってくれるからね。
まさか去年のクイックシルバープロで僕のボード持ち出してくれるとは思わなかった。正直すごく驚いたよ。
どのくらいケリーにボードを削ってるんだい?
たくさん削ったね。その中で20本の試作があって、その中からケリーがベスト2を選出したのがSCI-PHIとOMNIだよ。
これは最初の一部で、今年はどんどんリリースしていく予定だよ。
2016年のCT初戦クイックシルバープロでケリーがダニエルの板を使用すると思う?
これはまた良いチャンスになると思うよ。僕はケリーじゃないし、彼だけが自分のしたい事わかってるからね。
だけどケリーとは、ボードを開発するにあたりすごい時間を費やしたよ。素晴らしいサーフィンをしてくれるし、彼の動向はチェックしないとね。
ダニエルが作るフィンや板はすごい個性的だけど、ファンが多いよね。コンセプトは何だい?
フィンはすごい機能的に作ってるんだ。ヒレ足をコンセプトにしているよ。ターンをする度にしっかりドライブして前に進むようにね。魚のフィンをイメージしてるんだ。
つまり、自然界にある生物をコンセプトとして作ってるっていう事だよね?
ああ、そういう事だよ。後は航空機などから板を作るコンセプトを得てるんだ。(実際にダニエルの作ったフィンには航空学の方程式が刻まれてる。)科学は最も大きいインスピレーションだよ。
科学はシェイプするにあたって、たくさんの情報が学べるんだ。水や空気など、どのように動くかという事からたくさんの情報が得てるよ。
自然や科学を参考にする事は、他のサーフボードデザイナーを見ているよりももっと参考になるよ。僕は他を真似するんではなく、いつでも新しいモノをデザインしたいんだ。
だからオンリーワンのデザインなんだね?
多分ね。だから王者ケリーが僕と一緒に働きたかったのかもね。
今年は従来のサーフボードにプラスして、自然科学などのコンセプトして製造するダニエル”トモ”トムソン、そして王者ケリーのスレーターデザインそして環境を配慮したテクノロジーを使用したFIREWIREなどますます注目が集まってくるだろう。
彼らの今後の動向には目が離せなくなりそうだ。
■ TOMO Japan
http://tomosurfboardsjapan.com/index.html
■ FIREWIRE Japan
http://www.firewirejapan.com/
■ INTERSTYLE 2016
http://www.interstyle.jp/next_interstyle.html