桜になにを想う
冬の終わりを告げる梅、桃、桜。すでに桜は西から開花され、関東でも桜が咲きはじめている。
「桜サク」
3月の卒業、受験合格発表。社会人になれば多くは4月の新年度に向けて人事異動や退職、歓迎会などがあり、別れと出会いの季節だから一層のこと桜は想い出と重なる。桜は”特別な時期”での特別な存在なのだ。
これから「花見」に行く人も多いと思う。
一人で街を歩きながら出会う桜は、ほんの一瞬でも心が洗われ、好きな人と見る桜は一層綺麗だ。
家族で見る桜は、親たちは子供に何を伝えるのだろう。友達や会社の宴会で酒を酌み交わす楽しい桜もある。
そして、辛い桜もある。
2011年3月11日の震災による遺族や被災者は、それどころではなかっただろう。
5年が経過した今でも、桜を見てキレイだと感じることができるのだろうかと心悼む。
それは震災だけではない。きわめて個人的なことだが、とき同じく2011年3月震災直後、くも膜下出血に倒れ奇跡的に助かりながらも意識朦朧と、その後2ヶ月後に旅立っていった我が母親は、その死にゆく2ヶ月の間、ちょうど桜が咲き、散っていた時期だった。
夕方のアンバーな光に照らされ、風に煽られて散るたくさんの桜の花びらに包まれながら、一回だけ車椅子で外に出ることができた母は、その光景が見えたのかどうか、見えていたなら、何を想っていたのだろうか。
だから自身は、桜を見るたびにキレイだとは想うが、辛い想い出しか頭をよぎらない。
「花は咲く」という岩井俊二さん作詞、菅野よう子さん作曲の震災復興の歌がある。
いくら辛くても、毎年、この季節になれば必ず花が咲く。
生きていれば必ず、この光景を繰りかえす。どんなに辛かろうが時はうつろい、花は咲いて散っていくのだ。
3月末から4月。桜。
桜は、一人ひとりにとっての桜となる。
その桜への想いは、年を重ねるごとに、変わっていくのかもしれない。
自身はまだ、あの忘れることのない光景しかないが、いつかきっと、心から”安堵する桜の景色”が、この先やってくると信じている。
桜は幸せや美の象徴だけではない。辛い想いをしている人にとっての区切りの時期なのだとも思う。
saskura photo by Yoko Nekonomania
■桜名所 全国お花見1000景2016 – ウォーカープラス
http://hanami.walkerplus.com/
■全国の桜の名所1400箇所をご案内 – お花見ガイド(2016)
http://お花見ガイド.jp/