「宮坂桃子」独占インタビュー
宮坂桃子。
「去年のJPSAランキングは6位でした。コンペについて、今シーズンに向けて新しく何か始めたこととかありますか?」
今まで特定のトレーナーとかをつけたことが無くて、短期間ですけど、昨年からトレーニングをしています。サーフィンに対する意識を高めて、より集中するため。自分がこのサーフィンをプロとして、ちゃんとやっていかなきゃいけないんだというのを自覚するためでもあります。
12月の冬から始めたので、まだ、手応えとかは感じられなくて。でも、これから少しずつでも自分が変わっているかを確認できればいいかなって。その結果として成績を出せればいいと考えています。
「今年はWSLの国内戦も4戦も開催される予定です。世界への挑戦はどう考えていますか?」
両方とも出る予定です。ただ、WSLは国内だけで、海外はしばらく廻るのは止めようと思っています。
世界で今まで戦って来て、一年だけやったんですけど、今の自分の実力では無理だとわかったので。勝つために行っているのに、負けてしまうのが目に見えているのは、自分的にも許せなくて。世界へ出る前にやるべきことがあるとわかりましたから。だから、もっとトレーニングをしたり、いろいろなことを学んで、自信を持てるようになってから廻ろうと思っています。
「今回、バリにはどんな板を持って来ましたか?」
サイズは5’7”と5’8”の2本です。特にクラマス用とかではなく、普段の板を持って来ています。スポンサーも変わり、自分のサーフボードを変えてから、昨年はすごく迷走してしまって。なかなか自分のやりたいサーフィンに近づけなくて、むしろ遠ざかってる感じで。自分は思いっきりやりたいんですけど、それが叶わなくて空回りしていました。なので、自分の一番調子の良いと思っている板で試合には出ようと思って、普段の板を持って来ました。なので、波のサイズが上がったら、もうやるしかないと(笑)。
「その昨年の迷走の原因はわかりましたか?」
今まで試合に向けて勝たなきゃ、勝たなきゃ、ということばかり考えていて、試合がすごくつまらなくなってしまって、楽しみがなかったというか。ただただ全試合廻らなきゃと義務感がすごく強くて。あくまでも自分の挑戦であり、結果を出すために日々練習して試合に臨むのですけど、ただ消化するだけのものとなっていました。
良く試合で「楽しんで!」って言われるんですけど、楽しみたいと思っても、どう楽しんで良いのかもわからなくて。プレッシャーかもしれません。スポンサーや応援してくれる人がいるから、とにかく結果を出さなきゃと。両親もすごく応援してくれていて、負けて悲しむ顔を見たくないという気持ちが大きかったからかもしれません。
結果を出すために試合に出ているんですけど、自分の技術とのギャップがあって、勝てないと思ったまま試合に出ている。これでは、実際に勝てるわけがないですから。だから、今、もう一度原点に戻って、スキル、エキップメント、メンタルすべて一から始めて、前みたいに試合を楽しめるようになろうとトレーニングをしています。
「オリンピックについてはどう思っていますか?」
特に意識はしていません。もちろんサーフィンがオリンピックになれば、良いなって思っているんですけど。特に自分がという気持ちはありません。ただ、オリンピック種目に選ばれれば、アクティブなものにとどまっていたサーフィンが、バレーボールとかサッカーみたいなスポーツになるのではと期待しています。そのために自分たちサーファーもアスリートとして、それを押していけるように頑張らないといけないと考えています。
今、サーフィンする小さい子もすごく増えて来て、練習してプロになるんだって。そんな子が増えてきているのも事実だし、このオリンピックで流れが変われば良いなって思っています。
「サーフィンの魅力って何でしょうか?」
今まで海に行っても、波打ち際でしか遊べないですよね。それを自分の力で沖へ出て、こう感じる静けさというか、神秘的な静けさが海にはあるじゃないですか。自然の偉大さというか。そういうのだったり、波に乗る感覚だったり、体全体で自然を味わえるスポーツですよね。普段と違う世界を見せてくれるのもサーフィンの魅力だと思います。
Photo.Interview/S.Yamamoto