「田代凪沙」独占インタビュー
– 昨年はJPSAグランドチャンピオンという素晴らしいタイトルを獲って、有終の美を飾りました。そして、今シーズンのスタートはオーストラリアから。先日の日本までの成績を振り返ってみての自己評価は?特に日本での大会について思い入れはありましたか?
今年の初戦は、2月のオーストラリアからでした。ニューキャッスルではあまり良い結果を出せなくて。次のマンリーでは、絶対にトップシードまで行くという気持ちで戦いました。去年と比べたら、ちょっとは良い成績が残せたかと思っています。これも海外の試合に出だしてから、いろんな経験が結果にも繋がっているのかなと思っています。特に日本ではホームなので「やっぱり勝ちたい!」「 1000 ポイント取りたい!」という気持ちが強かったですね。それで気負いすぎてしまったかもです。
2/15-18 QS1000 Komunity ProjectGreat Lakes Pro 9 位
2/22-28 QS6000 Taggart Women’s Pro 67 位
2/29-3/6 QS6000 Aussie Bodies Women’s Pro 37 位
5/23-30 QS1000 Ichinomiya Chiba Open 7 位
− 今年は WSLのQS中心と聞いています。海外で戦うために、新しく始めたことはありますか?
去年までは学校があったので、時間の制約がありました。でも、卒業したことで、今は自分で時間割を決めて活動できるようになりました。今はサーフィン中心で、アルバイト(スポンサーのビラボンストア勤務)をして、空いた時間にはスポーツジムに行くようにしています。
あと運転免許を取ったので、行動範囲が広くなったことが大きな変化ですね。これからは平日でも千葉にいるスポンサー兼コーチのロス・バトソンさんのところにトレーニングしに行きたいと考えています。
− トレーニングを始めて何か変わりましたか?食事管理とかもやっているのでしょうか?
まだ、トレーニングは始めて間もないので、そこまでの実感は無いです。ただ、今までのサーフィンは、太ももの前で身体を支えていた感じだったのですが、股関節をすごく意識するようになりました。食事に関しては、特にこれというのは無いですが、極力、野菜を食べるように工夫しています。
トレーニングはサーフィン専門ということではなく、まずは基礎体力の増強のためです。オーストラリアへ遠征に行った時には、トレーニングする機会も何度かあったんですけど、それ以外はトレーニングらしいことは、今までできてなかったので。体が硬いので、柔らかく動ける身体作り。サーフィンに必要な体幹が弱いので、そういうところを中心に鍛えていきたいです。
− 世界を目指す為にサーフィンを変えようとか、新しくやろうとしていることはありますか?
自分は足りないところだらけなので、変えたいと考えています。もっと大きいサーフィンをできるようになりたいです。レールを使ってスプレーをもっと出せれば、攻撃的なサーフィンができるのかなと思っています。今はどんな時もキレイなカービングができるように練習しています。ただ、自分はリップの時、手に癖があるので、そこを治しているところです。
あと自分の性格がわりとマイペースなので、いつも練習中からボケッとして波に乗らないことが多いんですよね。なので、今は積極的に乗るようにしています。ただ海に入るのでは無く、技一つ一つを完成できるような練習をしたいと心掛けています!それと英語はこれから必ず必要になってくるので、今年は英会話も学ぼうと思っています。ヒーローインタビューで、ペラペラ答えたいですね(笑)。
− 普段から何か心掛けていることはありますか?
最近は海に入る前に、カッリサ・ムーア、タイラー・ライトやミック・ファニングのDVDを見て、イメージを叩き込んでから波乗りに行くようにしています。サーフィンのモチベーションを上げるためにも役立っていますね。彼らのスタイルのカッコ良さも一つ一つの技も大好きです。
あと通っていた学校がキリスト教の学校だったので、海に入ったら心の中でイエス様に色々お願いをします。
− 人と違って、自分はこれは負けないというものはありますか?
負けたくない気持ちだけは人一倍強いですが、あまり見た目ではポーっとしてるのでわかってもらえません(笑)。
− 好きなものはありますか?
スポーツ観戦です。アスリートを見るのが好きですね。サッカー、フィギュアスケート、テニスとか。ルールがわからなくても、見ちゃいます。試合では駆け引きというか「ここでそれするんだー」っていう場面などが好きです。一生懸命に試合をしている姿を見るのが好きで、自分も頑張ろうっていう気持ち
にさせてくれるからです。
— 音楽は何を聞きますか?
日本の曲とか聞くのが多いです。GReeeeN とか。元気が出ます。頑張ろう!って気持ちになります。他にケツメイシも大好きですね。いつも日本の曲が多いです。リラックスする時にも聞きますが、試合前は気持ちを上げるためにクリス・ブラウンなど洋楽も聞きます。
− オリンピックについては、どう考えていますか?
代表選手として選ばれるなら出場したいです。2020 年までは時間があるので、日本代表として見合う選手になれるように、コツコツと努力していきたいです。ただ、自分が一番、夢にしているのはWSLのCT行くこと。そこで活躍できるようになりたいので、その成長の過程にオリンピックもあると考えています。だから、自分が出る、出ないとかではなく、その中で選ばれるのなら、光栄だし、ぜひ頑張りたいと考えています。
− 国内でWSL女子QS3000が開催されるだけでなく、年間4戦、台湾入れてWSL JAPANツアーで5戦も行われる予定です。これについては?
日本でやっていただけるのは、本当に嬉しいですね。今まではポイントを稼ぐためには海外に行かないと無理でしたから。海外の大会では上手い選手と戦えるので、すごく勉強になるのですが、遠征費が掛かり過ぎてしまうこと。それに車が無いと廻れないとか。一人ではどうにもならない場所とかがあるので、大変なんです。だから、日本でも開催されるのは大変有り難いです。
− プロとしてこのスポーツを選んだ理由とその女子プロ活動(サラリー、スポンサー、賞金額など)について意見はありますか?
やはり、小さい頃からやってきたサーフィンで活躍したいという気持ちがあったので、このスポーツを選びました。日本の女子プロは賞金額が少ないので、男子に比べると活動は正直しにくいと思います。 賞金は優勝しないとまとまった金額にならないので、プロツアーは本当に大変です。スポンサーに関しては、昨年までは、ほとんどマネーは発生していない状況だったので、親に援助をお願いして、海外も遠征させてもらっていました。でも、今年は女子としては待遇良くして頂いて、自分で頑張って行けるようになりました!
− 今年の目標を聞かせてください。
WSL WQS 50位以内(昨年は 76 位 1953 点)に入ること。来年はシードをもらいたいです。なぜならポイントを稼ぐ為にはQS6000の試合に出るのが必須だからです。そして、試合ではR−5までは必ず行けるように、今は試合を頑張ることですね。CTに向けては、5年計画で考えています。あと2年でトップシードに入って、その後、CT入りするのを目標としています。
− 最後に。サーフィンの魅力を教えてください。
自分はなぜサーフィンが好きか。サーフィンをやっていると落ち着くからです。小さい頃から家族で動き、家族で泣いて笑ってっていうのが、=(イコール)サーフィンで。だから大好きなんです!もちろん試合の時は、燃えますけどね。試合も大好きです!それと同じ波が来ないから、一つ一つの波が大事で、乗れた時の楽しさがあります。その波に乗った人しかわからない楽しさがあります。口では説明できないから、ぜひやってみて欲しいと思います。
Photo/Interview:S.Yamamoto