【第1章】車泊の旅へ|出発編|柴犬ラニとの4,342kmロードトリップ2016
Trip Photos by Yoshishiro "moo" kitamura Text by Yoshishiro "moo" kitamura×BLUER
第1章 ー SETTIGS & DEPARTURE ー セッティング&出発編 LANI&MOO車泊の旅スペシャル・エディション。 『九州を最終目的地にすること』だけを決めて どこを通るかも、いつ着くかもわからない。 真夏の猛暑対策を万全にして、東京を出発した。
猛暑の7月27日。うだるような暑い夜。 今回の旅は、初めての試みを実施した。旅人LANI&MOOが、INSTAGRAM(インスタグラム)で道中をほぼリアルタイムに写真をアップしながら旅をするという試みだ。 ー INSTAGRAMで写真がアップされて初めて、現在地を知る ー この旅を共に企画したBLUER編集部でさえも、旅人が今どこにいるのかは不明。INSTAGRAMだけが情報源だ。 深夜。スマホから投稿を知らせるアラームが鳴った。そこに写っていたのは、この1枚の写真。 位置情報はSHIZUOKA(静岡)、そして助手席で緊張感を漂わせているLANIさんの真夜中の、この1枚の写真。 旅は、はじまった。 うだる暑さの夜。LANI&MOOは、高速道路を走らせていた。
旅の相棒は柴犬のLANI(ラニ)。 8歳になるLANIは生まれて物心がつく前から一緒に旅をしている。 調べようのないことだが、日本一、車で旅をする柴犬なのかもしれない。どれだけの距離を、どれだけの時間を過ごしただろう。 サーファーという職業柄、波のあるところを常に移動する。この時期に長旅に出ることも恒例行事だからLANIもわかっているのだろう。 BLUER編集部と企画話を繰り広げているときも、じっと目を閉じ、話を聞いている。
LANI&MOOの旅に重要な役割となるのがハイエースのBLUER号。まずは車両・内装について話そう。
運転席の真横、助手席はLANIの専用席だ。
長時間でもくつろいで居られるように、人間が足を伸ばす部分をフラット面にし動けるスペースにしている。
LANIはフロントの助手席から旅人を見守りながら、空気を感じ取りながら、フロント席に行ったり、後部のメインルームに移動したりと器用に過ごしている。
さて「車泊(しゃはく)」は車で寝泊りすること。車は「家」のようなものだ。
運転席はコックピットだが、LANI&MOOにとってはダイニングも兼ねている。食事は決まって運転席なのだ。
キャンピングカーやハイエースなどの車両では、後部のメインスペースを食事場所にしている人も多いと思う。しかしLANI&MOOは食事は決まって運転席。
フロント運転席と助手席の間のコンソールボックスがダイニングテーブルになる。LANIの食事や水を入れる食器が固定設置できて便利なのだ。
食事スタイルによって好みがわかれる所だが、ゆったりと後部座席をフラットにして食事をするのも良いし、水や食品でマットなどを汚す可能性のあるものはフロントで、と割り切るのも良いと思う。
さて、この写真はBLUER号の後部座席をフルフラットにした全体像。リビング&ベッドルームとして活用するBLUER号のメインスペースだ。
LANIが助手席とこの空間を行き来しやしように段差や隙間を作らない。
以前、BLUER号ができるまでを特集したが
参考:快適!「車泊(しゃはく)」空間ができるまで(特集へリンク)
このCARVINのベッドは最大限空間を活用できるベッド&収納キット。広いスペースに、ちょうどよい硬さのベッドと綿のラグがあれば、申し分のない居住空間になる。
車をフラットにして寝る場合、そのスペースに”寝袋”を使う人がいるが、肌触りのよい綿のラグに、夏ならタオル、冬ならウールの毛布などを持ち込んでしまえば気持ちよく眠ることができる。
ここは、特別な場所ではなく、車という名の「家」なのだから、家と同じように考えることで、快適空間が実現する。
昨年の九州への旅は、大阪で所用を済ませ高速道路のサービスエリアで休憩したものの、一気に九州まで走りきった。 無理にノンストップで長距離を運転したために、思わぬ腰痛をわずらい旅から帰ってから数日間、動けないことも経験した。 だが今回は、道中のルートを決めないことにした。 波がよい場所でサーフィンしたいという欲求もあるし、その時に、心が感じるがままに 未知の場所に行ってみることも、旅の醍醐味だと感じている。 だからこそ、ゆったりと。 途中、休憩を入れながら進む旅をしてみようと決めた。 車は浜松ICで下車。そこから下道をひたすら走り、愛知県の伊良湖へ。 BLUER号が納車され何もない空間に、ベッドキットをセッティングしてくれた老舗のベッドキットメーカーである「CARVIN社」のホームポイントも伊良湖だ。 セッティングした当時のことを思い出しながら…。 伊良湖はこの日、スモールコンディションだったが、コリ固まった体をほぐすには十分、満足だった。 いつも旅の始まりは緊張感にあふれているが、日本の真ん中、愛知に立ち寄れたことで、ワンブレイクでき、ますます気持ちが高まっていった。
夕食はコンビニの「ひじき煮」と「オニギリ」。なんとも簡素な食事だが、暑いしどうにも暑くて食欲がわかない。 旅では現地の友や知人と外食に行くことはあるが、決まってコンビニで済ませることが多い。 これでも、一応食べるものには気を使っている。
いつもなら、そのまま高速道路に乗ってしまうが、愛知で一晩、車泊することにした。 車泊は、自然そのものだ。 陽が暮れたら寝て、陽が昇れば、活動を開始する。青い空がオレンジに変わり、やがて暗黒に変わる…。 伊良湖のサンセットは綺麗だが、いつもの暗黒が迫ってくる。 まだ夜の8時。だが自然のサイクルに逆らわない。この日は早々寝ることにした。おやすみなさい。
ここで「車泊の旅」を快適に過ごす装備について話そうと思う。 何と言っても長期アウトドアで困るのは電源の確保だろう。外にはコンセントや電源を引っ張る場所はない。 ハイエースにはリアにAC電源があり、後部で寝る際に充電が出来るので大変調子がよい。 もし、このような旅をしようと考えてる人ならば、電源を搭載している車かどうかを、ひとつの決め手とするのも良いかもしれない。 またBLUER号はエンジンスターター&タイマーを装備している。 これは、室内後部からでも、どこからでも、リモコン操作によってエンジン始動や解除がリモコンポタンによってできるというものだ。 タイマーは10分刻み、最大30分間で設定可能。 たとえば真夏に。エアコンをかけて寝たいが、そのまま寝てしまえば、エンジンはかけっぱなし。冷房もかけっぱなしとなる。 それを防ぐために、このエンジンスターター&タイマーが非常に有効となるのだ。 BLUER号にはリアはもちろん、フロントダッシュボード下にもAC電源がある。フロントは運転席に近いこともあり、2個口に分岐させてスマートフォンなどUSB用に電源を2つ確保するようにしている。
万全を期し、アウトドアメーカーの「ドッペルギャンガー」ビビラボのソーラー発電充電器を装備することにした。 アウトドアブランドは実にブランド数も多いしアイテムも種類が豊富だ。しかし有名ブランドのアイテムが優れているとは限らない。 いかに実用的で使い勝手が良いか、それを見極める目を持つことも、アウトドアをするなら必要な能力だろうと思う。 さて昨年は、車で充電していて、誤ってバッテリーを飛ばしてしまった苦い経緯がある。 今回は、ダッシュボードに置いておけば勝手に充電される大容量タイプのソーラー受電を用意した。 エンジンをかけずに太陽光で溜まった電気を瞬時に充電してしまうという優れものだ。アウトドアではかなり有効なアイテムなのでぜひ利用してほしい。 今までの充電は、走行中やアイドリング中は電源確保できるものの、停止中は充電できなかった。 しかし、そんな時に出会った「ビビラボ」のソーラーバッテリー。これは普段使いでも、太陽光さえあれば充電できるのだからアウトドアに関わる人なら、ぜひ持っていたいアイテムだ。
「ドッペルギャンガー」の防水ソーラーポップアップランタンをチョイスした。 上部に太陽光による充電が可能なソーラーパネルがついていて、ソーラー充電できないときは乾電池が使えるという、ハイブリッド仕様の三段階調光のLEDライト。普段このように吊るして充電しておく。 ランタンとして使用するときは折りたたみが可能なため、縮めたり(左図)、伸ばしたり(右図)して使用するのだ。 コンパクト&スマートで持ち歩いても邪魔にならないし、消灯後も蓄光にて光を発してくれて、しばらくはボンヤリと明るいのもいい。 街灯もない場所で車泊するのが常だが、夜は闇の中、カーテンを締め切った車内であっても、眠りに入るまで淡い光があるから安眠に導いてくれる。ロウソクのような揺らぎモードがあったりと、使う人の好みで、様々に照らしてくれるこのランタン。 なんと考え尽くされたアイテムだろうか。感心してしまう機能が、このランタンには搭載されている。
夏や暑いときに必須のアイテムをまずは2つ紹介しよう。ポータブル扇風機とベープ(虫除け)だ。 扇風機はそのとおり、扇風機。ホームセンターなどで安価に売っているポータブル・タイプで、乾電池だけではなくAC電源とUSBから電源をひろうこともできる。あなどれない高性能で、BLUER号の室内では十分に空気を循環、送風してくれるため重宝している。 また防虫として愛用のフマキラー社の「どこでもベープ未来 150日」。 なんとも凄いネーミングだが、電池も薬剤も交換することなく150日間、効果がキープされるらしい。最新のエコドライブシステムによって防虫してくれるというが、一応電池式ではあるので、150日後に電池と薬剤を交換すれば、何度も使える。とはいえ150日。夏のワンシーズンは、交換の心配はまったくいらない。
以前の特集でも紹介したが、BLUER号は後部と両スライドドアに防虫ネットを装備している。 参考:快適!「車泊(しゃはく)」空間ができるまで(特集へリンク) 普段はメッシュのスクリーンをクルクルと丸め、ハッチ内面上部に邪魔にならず収納してあり、後部ハッチと両スライドドアには全面防虫ネットスクリーンを必要な時にだけ下ろしている。(画像左) サイドの小窓にもメッシュのロールスクリーン。最新のハイエースは車体の横面に小窓が付いているので、このように防虫ネットを装備しておくのがおすすめだ。後部を開けずとも横窓から心地よい風が入ってくる。(画像右)
最後にちょっとしたアイデアを紹介。後部ハッチを半開き状態にしておける方法を伝授。 自作ながら、リアパイプハンガーとハッチ施錠部分に、長さ調整が可能な帯紐&カラピナを利用して、ハッチが跳ね上がらないようにしている。 使用しない時は帯紐は内側に引っ掛けておく。こうすることで、全開に窓を開けずとも隙間からの風が期待でき、かつ扉が上がってしまう心配もない。こんな狭さなら、誰も侵入すらできない。
さて旅はいよいよ、愛知から西へと進行。 大阪へ立ち寄ったLANI&MOOだったが 思わぬトラブルに遭遇してしまう。 引き返そうか…。 いったい何が起こったのか!?
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