【ジェリー・ロペス来日インタビュー】 名作『SURF IS WHERE YOU FIND IT』に込められた思いとは?
以前なみある?で掲載し、話題を集めたジェリー・ロペスの著書『SURF IS WHERE YOU FIND IT』。
2016年10月、『SURF IS WHERE YOU FIND IT』改訂/増頁版リリースのプロモーションを兼ねて伝説のレジェンドサーファージェリー・ロペス氏が来日した!
幸運にもなみある?は、世界中のサーファーの憧れであるジェリー氏にインタビューをする機会に恵まれた。
『SURF IS WHERE YOU FIND IT』リリースまで貴重なエピソードから、普段は決して聞く事のできないジェリー自身のサーフィンに対する姿勢やYOGA、そして今後の方向性など語って頂いた。
今回、何を目的として来日したのか教えてください。
ホームに戻ってきたんだよ。
僕の本の日本語訳が完成して、それを日本人のサーファーに紹介するために来日したんだ。今は約1週間くらい滞在しているかな。
GerryがPatagoniaのアンバサダーとなった経緯を教えてください。
パタゴニアとはもう長い付き合いになるね。
パタゴニアの当初のイメージはクライミングだったんだ。だけどパタゴニアで働いているスタッフは皆サーファーで、会社としてバランスを取るためにサーフィンのイメージも作りたかったんだよ。
山に登る事と同様に海の分野も作りたかったんだ。
だから創設者イヴォン・シュイナードが僕に電話してきた。それがパタゴニアとの付き合いの始まりかな。それから間もなくパタゴニアはオーシャンの分野を始めたんだ。
今ではパタゴニアは海と山の両方のイメージで多くの人に知られているよ。
海ではGerryが初めてのアンバサダーなんですか?
そうだよ。最初のオーシャンアンバサダーだよ。
だけど、パタゴニアのスタッフは皆サーフィンをしてたし、創業者ももちろんサーファーだったから最初のサーファーではないよ。
Patagoniaとはどのくらいの付き合いですか?
もうかれこれ12年間くらいの付き合いかな。
12年間の付き合いはどうでした?
海も山もあって僕に完璧にマッチして最高だよ。
この本を書くことになった経緯を教えてください?
サーフィンのストーリーを作りたかったんだ。
たくさんの人が僕にサーフィンエピソードを聞いてくるんだけど、昔の事なんて忘れてしまう事もあるだろ。だから本を書く事にしたんだよ。
ダイアリーの様な内容ですか?
ダイアリーと言うよりは、僕のショートストーリーのコレクションかな。
ほとんどの内容がサーファーだったりサーフィンしてきた場所について書いている。楽しい思い出から危険な体験までサーフィンを通じてのストーリー中心で、僕の歴史を語った内容ではないんだ。
僕が人や場所を通じて経験したストーリーが書かれているよ。
多くの人がG-landやパイプラインだったり特別な場所でのサーフィンストーリーを聞いてくるんだ。僕はそれらを多くの人に語り続けてきたんだけ、その内容を文章に残した方が良いかなって思ってね。
年を取ってくるとそういうストーリーは忘れてしまうモノだからね。
新聞記者だったお父さんの影響もあるのですか?
そうだね。僕のファミリーにとって本は掛け替えのない存在だったんだ。
テレビ時代の前は、皆図書館に行って本を読んでいたんだよ。それが僕の家族行事の一部だったんだ。
だから本を書く事は本当に自然の成り行きだったよ。パタゴニアがそれを可能にしてくれたよ。
最初にイヴォン・シュイナードが’LET MY PEOPLE GO SURFING’という本を書いたよね。その時は外部の出版社を使ったんだ。
本はいつも人々と多くの良い関係を築いてくれる。お客さんが来店するきっかけになったり、人とが出会ったりする良いイベントを開くことができるよ。
だからパタゴニア社は本だけの分野も始めたんだ。そしてそこで出版した第1号目が僕の書いた『SURF IS WHERE YOU FIND IT』なんだ。
出版したのはいつ頃ですか?
確か8年前くらいかな。それ以来、パタゴニア社の多くのアンバサダーが本を出す良い刺激になったんじゃないかな。
本は永遠にキープできるし、100年たっても人にストーリーを共有できるしね。歴史的な事だよ。
僕はいつでもサーフィンの歴史について気にかけているんだ。
サーフィンの歴史はハワイから始まっているけど、現在のサーフィンの歴史は僕のサーフィン人生のような期間でとても短い。
歴史はいつもねじれていき、人々は間違って解釈する傾向にあるよね。人々は違った形で物事を記憶するけど、僕にとってそれはとても腹立たしい事だよ。
だから本に書いてリアルな事を伝えたいだ。読んで楽しい内容だし、退屈な教科書みたいな本ではないよ。
若い世代は文章などでしか、昔の出来事を知る手段がないですね。
そうだね。だれかが未来のために過去の事を書いて伝えないといけないよね。
今、子供達はサーフィンにすごく関心を持ってくれている。だから彼らに、本を通してサーフィンがどこから始まって、過去にどうなってたかを伝える事になれば良いと願ってるよ。
この本を日本のどんな人に読んで欲しいですか?
この本は主にサーファーに向けて書いた本なんだど、同時にサーファーでない人も興味を持ってくれると良いね。
サーフィンは外部の事が要因でスタートするのがほとんどだと思う。
最初は皆サーフィンがどんなスポーツかもわからなくて、実際に見て「Wow,サーファーは面白いな!」って感じで興味を持ち始めるよね。
サーフィンに人生を捧げてきた僕のストーリーが、サーファー以外の人にも面白いって思ってくれれば最高だね。
後はサーファーの枠を超え、サーフィンをしない人に向けて影響を与える事を願ってるんだ。この本によって多くの人に興味を持ってもらいたいね。
サーフィンは、サーファー以外の人達にもすごい影響力をもたらしてくれる。
今ではとても大きな産業で、サーフィンしない人達でもサーファーの恰好を真似したするなどたくさんの人達を魅了している。
だから僕の思いとしてはサーファーだけでなく、サーフィンしない人達も面白い本だと思ってくれる事を願ってるよ。他には歴史的な事についても注目して欲しいと思ってる。それはこの本のとても重要な部分だからね。
この本のメッセージを教えてください。
サーフィンは素晴らしいスポーツであるという事。
時代を大きく変わってきているけど、僕が若い頃はサーフィンをする事を両親はあまりよく思っていなかったよ。
サーファーは浮浪者扱いで、社会において必要のない存在だった。
だけど僕はサーフィンを信じ、やり続けてきたんだ。
現在は社会にサーフィンは認められているし、それ以上のモノだよね。僕にとってサーフィンは自分がどんな存在であるかって証だし、ピースな感覚を見つける方法でもある。
他にYOGAも同様に、僕の生活バランスを整えてくれる重要な事なんだ。
1番読み手に伝えたい箇所はどこですが? 又その理由を教えてください。
この本にはサーフィンしたポイントや他のサーファー達の事を書いているんだけど、その中でも’Pakala(パカラ)’はとても重要な場所だよ。
ここは僕の母親が生まれた土地でもあり、カウアイ島にある僕にとってのマジックプレイスで、お気に入りのストーリーさ。
他には、たくさんの人の功績などを書いているけど、その中でも’ウォルター・ホフマン’は僕のお気に入りのストーリーかな。
彼は僕よりも前の世代で、僕がサーフィンを始めた時にとても影響力があった人なんだ。僕達は親友で、彼とのストーリーがベストだね。
ウォルターが若い頃はサーフィンをして過ごし、それはサーファーになるためには最高の時代だったんだ。だからこの本にウォルターの事を書いたんだ。多分ベストストーリーだね。
誰も語り継がなければ、その話はすぐに忘れ去られるだろ?だから僕はそういうストーリーを保護していきたいんだ。いつまでも彼がヒーローの1人としていて欲しいんだよ。
ジェリーが若い時に過ごしたアラモアナのストーリーは特別ではないのですか?
そうだね、アラモアナで過ごした時間は僕にとって、さらにはサーフィンの世界においてもとても特別な事だったよ。
西洋社会の世界が大きく変革していく時代だったんだ。1960年から1970年代は、僕らの両親世代の重要視していた価値観が大きく変わってきた時でもあった。
かつてはビーチバム(海の浮浪者)と罵られていたサーファーの社会的地位が変貌を遂げた時代でもあるんだ。
ベトナム戦争やヒッピー、そしてロックバンドだったり10年〜15年の長い歳月をかけて、とてもたくさんの事が起こった時代だよ。
両親世代には理解し難い事だったけど、僕らにとってそれは本質で、とても重要な事だったんだ。それは僕がアラモアでサーフィンしている時代に起こり、常に連んでいた仲間達といつもその話題について語り合ったよ。
波を求めて集まった私達のアラモアナの駐車場で育まれた意識が、社会のあらゆる所で起こっていたんだ。その特別な時代のストーリーを書きたかったんだ。
アラモアナ駐車場で、あらゆる事が起こっていたんですよね?
そうだよ。これは今でも世界中のサーフスポットに駐車場があるように、たくさんのサーファーが似たような経験してるのではないかと思うよ。
日本では湘南や千葉の駐車場が、波のない時でも社交場となり様々な事が行われているようにね。
————————–「SURF IS WHERE YOU FIND IT」インタビュー終了————————–
今回、サーフィン界の巨匠ジェリー・ロペスにインタビューを行い、思ったよりも小柄な体格で、とてもリラックスしたオーラの持ち主だった事にまず驚かされた。
一言で表すならピースという言葉が相応しく、独特の雰囲気を持ちインタビュー中はとても居心地の良い空間に包まれていた。
サーフィンに人生を捧げてきたからこそ、語り継がれるべきストーリーがある。
そこには様々な個性溢れる人や出来事、世界中の波を探し求めた冒険の旅とエピソード、そしてジェリーが歩み築いてきた功績などサーフィンの素晴らしさを改めて実感する内容となっている。
サーファーだけでなく、サーフィンに興味を持っている人でも魅了する本作品となっているので是非一読してみてはどうだろう。
Writer:So Sugaya
この後、「SURF IS WHERE YOU FIND IT」の内容以外にもジェリー自身のサーフィンに対する姿勢やYOGA、そして現在のサーフィンについてのインタビュー模様も掲載予定です。
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