【ジェリー・ロペス来日インタビュー#2】現在のサーフシーンへ伝える「Aloha精神」とは？
2016年10月、『SURF IS WHERE YOU FIND IT』改訂／増頁版リリースのプロモーションを兼ねて来日したジェリー・ロペス氏。
第1弾で反響の多かった『SURF IS WHERE YOU FIND IT』のインタビューに加え、今回は貴重なジェリー氏のサーフィンやYogaに対する姿勢、呼吸法、さらには現在世界で注目されているウェーブプールやリバーサーフィンなどテクノロジーを駆使した新しいサーフィンそしてアロハ精神について語って頂いた。
この記事内では、超レアなジェリー氏直筆サイン入りPatagoniaグッズのプレゼントキャンペーンも実施中なので、そちらもお見逃しなく！
今回の日本トリップでサーフィンしましたか？
今回はしていないよ。 千葉は波が良さそうだね。台風来た時は特に良いんじゃないかな。
サーフィンは今も継続中ですよね？
もちろんさ。去年の6月はバリ島のウルワツに行ってきたし、まだサーフィンを楽しんでいるよ。
なぜ67歳になった今でもサーフィンを続けられるのですか？
僕はサーフィンが大好きなんだ。
サーフィンは僕の生活を完璧にしているし、それがない事は想像できないよ。
サーフィンできない時でも、常に海に行きサーフィンしている事を考えているんだ。
サーフィンできるチャンスは僕にとって掛け替えのない時間で、さらにサーフィンできる全てのポイントは最高な場所さ。
昔はアラモアナ、パイプライン、Gランドなど波の良い場所に拘っていたけど、今はサーフィンできる全てのポイントが１番だよ。
サーフィンできる事へいつも感謝している。波が小さかったり、風が合わなくても楽しめるようになった。
若い時は「この状況でサーフィンしたくない」などと自分勝手だったけど、今はサーフィンに行く全ての時間を楽しんでるよ。
なぜ、そのようなマインドに変わったんですか？
だって僕はいつでもサーフィンには行けないからね（笑）
サーフィンを始めた時の気持ちに戻ったのかな。昔は波によってポイントを選んでいたけどね。
サーフィンを続けるためにトレーニングなどしていますか？
Yogaをメインでしているよ。
後はトレーナーと一緒に、体をキープするためのウェイトトレーニングをしている。
YogaとGerryの関係性はなんですか？
Yogaはサーフィンだけでなく全てにおいて良いよね。
だから僕はサーフィンを上達させるためにYOGAを取り入れてるんだ。
さらに、Yogaは人間性をより高めてくれる。サーフィンももちろんそれに当てはまるね。
だから僕はYOGAとサーフィンは同じルールで成り立っていると思ってるんだ。
いつぐらいにそれを実感したのですか？
ここ１0〜15年かな。それに気付けた時、自分の中で何かが閃いた感覚だったよ。
サーフィン中にどのような呼吸法をしていますか？
まず呼吸法を学びたかったらYogaをやるべきだと思うな。
呼吸法はYogaの基本だかね。パナヤマ（呼吸法）をやった方がいいよ。
パドル中は肺や胸が圧迫されていて、呼吸するのはとても難しいと思うけどね。
呼吸する事は生活する上でも、サーフィン中でもとても重要な事だよ。それを習得するには長い練習が必要だけどね。
どうやってですか？
呼吸に集中し、適切にする事だよ。そうでないと死んでしまう。だけど私たちは正しく呼吸する事を忘れてしまうよね。
口だけで呼吸しようとするけど、これは大きな間違いだよ。
鼻でゆっくりと大きく深い呼吸をする事が重要なんだ。サーフィン中でもどんな時もね。
大きな波の時などは呼吸を乱す事があると思うけど、そんな時でもYogaの呼吸法はとても役立つんだ。
Gerryをサーフィンの神様だと言われてる事についてはどう思いますか？
皆、何か肩書きをつけて呼びたがるよね（笑） 僕は神様ではないよ。
だけど皆それぞれの中に神は存在していると思うよ。これは生きる為の目的であり、自分の中に存在する神を理解し、見つけるべきではないかな。
ケリースレーターはサーフィン界でチャンピオンですが神様ではないですね。Gerry氏は神様と呼ばれていて何かさらに特別な感じがあると思うのですが。
僕はYogaのトレーニングをする事で、自分自身の内に秘めた神を見つける事ができたよ。
サーフィンをする事で神の認識は簡単にできるんじゃないかな。
例えば、最高の波をメイクした時の気持ちを考えてごらんよ。それはとても神秘的な時間だよね。
なぜなら、それは神に最も近づいた瞬間だからだよ。それは皆にもあてはまる事だ。
だけど、皆はそれに気付かず突き進んじゃうよね。だからその特別なモーメントを理解し、考えるべきじゃないかな。
その特別な時間はすぐ過ぎ去ってしまう。その最高な瞬間を留めとく事はとても重要なんだよ。自分の中でそのスペシャルな気持ちをより長くホールドしないとね。
今後の日本での滞在プランを教えてください。
今日が最終日だよ。明日帰国するんだ。
１週間いたけど、最初はパタゴニアサーフ大阪のオープニングパーティーに行ったよ。
日本にはどのくらい来た事がありますか？
もう１００回くらいになるかな。１９７１年に最初に来日してから、毎年数回のペースで来てるよ。
今後のやりたい事などありますか？
本を出版する事かな。今ちょうどストーリーを書いている最中だからね。
Yogaとサーフィンについての内容だよ。
今のサーフシーンについてはどう思いますか？
サーフィンは凄い人気で、とても忙しいよね。
僕がサーフィンを始めた50年〜60年代頃、誰もこれほどになるとは予想していなかったよ。
でもサーフ業界は発展し続けて、今ではウェーブプールも開発されている。もしかしたらこれがサーフィンの未来の形なのかもね。
現在、ビーチにはたくさんの人が訪れ、すべてのサーファーに十分な波がないのが現実だよ。
だけど、今ではテクノロジーを駆使して自然の波ではなくウェーブプールで波を作る事ができるね。
僕が住んでるオレゴン州ではリバーサーフィンもできるんだ。
■オレゴンでのリバーサーフィンの様子はこちら↓
これは海と同じサーフィンではないんだ。小さいめのボードを使って流れに乗るんだけどすごく気持ちいいよ。
海とは全く別物で、川の流れと別方向にアップストリームしないといけないからとても難しいよ。
ワイプアウトしたらすぐに流されちゃうしね。
Gerryがこのリバーサーフィンを発見したのですか？
僕ではないよ。
僕のカヤックをする友達がサーファーになりたかったんだよ。それで「あそこでサーフィンできるんじゃないかな」って提案してきたよ。それで僕たちが一緒行ってトライしてみた事がキッカケだよ。
それで今度は僕が彼にサーフィンを教えたんだ。
ドイツのミューヘンにもリバーサーフィンできる所がありますが、同じですか？
同じスタイルだよ。
ただミュウヘンのは自然の石の壁でできたバンクで、オレゴンのは人工で作られたバンクだよ。
ウェーブマスターがipadを駆使して水のレベルをコントロールし、波が良くなるように調整してくれるんだ。
政府が僕達のために作ってくれたんだよ。
リバーサーフィンはより自然に近い形だよね。
一方でイギリスのSnowdoniaだったり、最近オープンしたテキサス州オースティンのウェーブプールは莫大なコストがかかっているよ。
波を作るにも、施設を維持するにも、かなりの電力とパワーが必要なんだ。
波は良いけどすごい高いお金を払っているね。だけどリバーサーフィンは自然の波だからほぼフリーだよ。
オレゴンのリバーはテクノロジーを使用しているけど、作る時のコストだけで、後は水位をコントロールするだけで済むんだ。
これが未来のサーフィンの形なのかもしれないね。海でのサーフィンはポイントパニックになる場合があるからね。
日本のサーフシーンについてはどう思いますか？
まず、世界中の人達がサーフィンする事に驚きだよ。
アメリカが１番のサーフィン人口を占め、その次はオーストラリアという感じだね。
オーストラリアはアメリカに比べ、人口が少ないからね。
1980年代になると、ブラジルがno.2のサーフィン人口でno.3が日本になったんだ。現在もその順位は進行中だね。
日本は島国だし、たくさんの良い波があり素晴らしいサーフシーンだと思うよ。だから僕は毎回日本で楽しませてもらっているんだ。
たくさんの友達に恵まれ皆フレンドリーだし、来るたびに感謝しているよ。ありがとう！
今はサーファー人口が増え過ぎて、フレンドリーでないポイントが多いよね。
だけど僕にとって日本は、どのポイントよりも仲良くできて最高の環境だと思うよ。
2020年のTOKYOオリンピックのサーフィン開催についてはどう思いますか？
ウェーブプールなどの施設を作る事も１案ではないかと思っているよ。
そうでないと、波のために台風を待つ事になる可能性もあるよね。
詳しい事はまだわからないけど、波がない場合はどうなるんだろう？
ウェーブプールならパーフェクトな波が毎日ブレイクして、撮影するにも良い映像は保証できるしね。
ウェーブプールでサーフィンした事がありますか？
あるよ。波はとてもソフトだね。
最後に、何かサーファーへメッセージがあれば教えてください。
現在のサーフシーンはとても慌ただしいね。
全てのサーファーのために十分な波がなかったりで怒り出す人もいるしね。１つ波を巡って喧嘩してる光景もよく見かける。
波がブレイクする後にはまた波が来るのにね。サーフィンするのに常にアロハ精神を忘れないで欲しいね。
サーフィンと「Aloha（アロハ）」はハワイから発祥している。「アロハ」の意味は「Love」であって尊敬を持って人に接する意味が込められているんだ。
だから僕達は人々は歓迎するし、たとえ他人であっても愛しリスペクトする精神を忘れてはいけないと思っている。
これはどのように考えるか、そして全てを良くするベースとなっているよ。だからアロハ精神を忘れずサーフィンして欲しいね。
Writer: So Sugaya
————インタビュー終了————
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