サーフィンをいかにして観戦させるのか
サーフィンという競技は、スノーボード、スキーなども同様に「観戦」が難しいスポーツなのだと実感している。
サッカーや野球など、固定した競技場(スタジアム)施設のある競技と、サーフィンやスノーボードのように、おおよその場所は決まっていても屋根がないために、簡単に言えばファンは快適に観戦することができない。
サーフィン愛好者やコアな人びとにとっては、当たり前すぎる周知の事実。サーフィンは天然の波であり、スノーボードは天然の雪によって試合が進行する。その天然物をかぶせてしまう屋根があるわけもなく、直射日光や風雨にさらされるため慣れている人なら平気だが、一般的には観戦に最適か?と言われれば、なかなか過酷である。
でも、実はそこが、スポーツ観戦としてのあり方の、競技場のあるスポーツとの大きな違い=個性化できる部分なのではないか、と考える。
つい先日、仕事のため、サッカー日本代表戦を観戦に行った。今まで野球、格闘技なども生での観戦実績があるが、サッカーは個人的にな興味の外にあったために観戦することはなかった。しかし日本代表戦という、オリンピックにも似た他国との試合、興奮感の中での貴重な観戦の機会のもとで取材させていただいた。
スポーツはビジネスである。
それは日本代表戦ということもあり、サッカーの試合を見てなお再認識したことだ。
会場は雨であってもファンは屋根(完全なるものではなくとも避難場所を含めて)のある場所で安心して観戦することができ、会場ではフードコートにグッズ販売場所、豊富な数のトイレが揃う。
コアファンは応援することに命をかけ、団長からライトファンまで応援団の仕切りのもとで観戦・応援に徹する。
●共通Tシャツやジャージ、タオルなど ●応援歌 ●一体感 ●応援が習慣化
雰囲気はまさに、アーティストのライブに近い。最近の話題のバスケットボールBリーグは最たる例だが、「ショウ」として新生スタートし、企業の支援をともなって(ソフトバンクは4年で125億円を投資)、今後ますます商業化してお金が回っていくことになる。
今回のタイトル「サーフィンをいかにして観戦させるのか」。
抜本的な課題として、サーフィンのようなスポーツがかかえる「ファンの観戦という観点」について、
現地への集客を第一に考えすぎても、天候の問題などがあり集客力はどうしても弱くなる。弱くなるということは、ファンの会場への誘致や習慣化が難しく、サポートする企業が満足する露出はどうしても期待できなくなる。
オリンピックは、たった2週間超で閉幕するお祭りだ。それがきっかけとなり整備され改良されることは素晴らしいが、瞬間的なことのみではなく、恒久的に「サーフィン」をプロスポーツとして実施するための企業連携の観点においては、競技場スポーツと、サーフィンは同等に考えても非常に難しい。
サーフィンの究極は良い波で試合が行われること。だからこそ、それは、観戦が困難な場所を指すこととも同義。
つい先日、2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長や千葉の森田知事とサーフィン会場となる一宮町の釣ケ崎海岸を初めて視察し、会場近くにトイレや着替え施設を作るとの発表があった。建造物の詳細は未定とされるが、トイレは必要だとして、その他の施設が無駄に終わることなく活用されることを望む。
やはりサーフィンなど、野外スポーツは特殊だ。
だからこそ、企業からサポートしてもらい(つまりは、それによってプロ選手の賞金金額があがり、潤う構図を作るための)宣伝効果を還元する方法は、やはり「現地」でない。これが、1つの側面から見た事実だろうと思う。
サーフィンは、様々な競技の中でも、そんな背景もあって、アメリカからライブ中継が、他の競技より率先して取り入れられてきた。
今後、企業を巻き込んでコマーシャル効果を期待し商業スポーツとして発展させていくとすれば、本質的には、会場での集客を考えすぎるよりも、ブロードキャスト(ネット放映やマスでの放送により)で企業へ「還元」するのが良い方法だろうと思う。
現在もネット放送をベースにして、もっと突っ込んだメリットを考え提供することが、これからますます「サーフィンらしい」スポーツビジネスの手法となっていくだろう。
WORDS,Photo by 田中菜穂子(BLUER)
追記
日本ではなかなか実現しない「人口ウェイブプール施設」。本来、競技場のような固定化した、安定化したスポーツの1種をどう考えるのか。
未来にEDITORS’NOTEで記したいと思う。
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