Update:201707.16SunCategory : BLUERマガジン

オーシャンマン(Ocean man)ー西山 俊(にしやましゅん)ー


類は友を呼ぶというのとも違う。これは奇跡的な出会いだった。

“サーフィン”という共通項の仲間が集まって発足した「BLUER」にとっておそらく、ずっとめぐりあうことのなかった出逢いだろう。
同じ海であっても隣人の存在を深く気に留めることがないことはよくあることだ。他の社会でもそうかもしれない。

近しい存在を認め、交流することが、その社会やフィールドをより良く改善していく最短の近道でることはわかっているのだ。

オーシャンマン-Ocean Man-
ー西山 俊(にしやましゅん)ー

ライフセーバーであり、競技としての日本ライフセービング競技界のトップアスリート、日本代表。
その名のとおりLIFE SAVER ーライフセーバー(人命救助)ー。

サーフィンやカヌーを愛する者をハワイなどでは「ウォーターマン」と呼ぶ。人類における極限の冒険者であり自分への挑戦、自然との対峙者として知られる。一方、ライフセーバーは、競技としての限界を競うこともするが、その究極的な存在意義は”レスキュー”、つまり自己実現でもなく”人” を救うためにある。

「オーシャンマン」と言ったのは、その競技内に究極の花形種目として存在する「オーシャンマンーOcean Manー」という言葉が、ライフセーバーの意義の”重さ”を物語っているように思えたからだ。

日本は海に囲まれた海洋国家であり自然災害の多い国だ。歴史的にも過酷な自然条件がおそらく認識をそうさせたことも含めて、アジア圏の独特なる海への畏敬の念、自然神への捉え方を含めて、一般的には「海は近づきがたい場所」としての認識がある。そのためか、西洋に比べ、比較的アンタッチャブルな領域として遅れている海岸未整備の国である。

海のそばに住むリスクマネジメントの観点も同様。震災も影響し、レジャーとしての海との関わり方も含めて、海の教育はやってもやり尽くすことはないが、圧倒的に不足している。

日本のライフセーバーの世界に目を向ければ、JLA所属*のライフセーバーは3,400名超もいるということに驚いた。
ライフセーバーによるレスキュー総数は3,000件を超え、意識のない溺水者を引き上げる過酷なことも年間40件を超えるという。

しかし日本は海に囲まれ、その海岸線は3万3,889km、地球一周の長さの85%近くにもなる長さ。JLA所属*のライフセーバーが配置されるビーチは、その中でも20%しかないというから、日本のコーストガードは不完全なままだ。

2017年7月17日ー海の日ー

国民の祝日に関する法律を読めば「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」日と定めている。この日に一体、国民がどれだけ海の恩恵に感謝するのだろう。

「BLUER」は、あらためて、海に向き合って行くことも含めて、西山俊の活動を見守っていくことにした。いや、見守るなどはおこがましいのだ。

海とより深く向き合うため、学ばせていただくために。そしていつか、海にかかわるひとりでも多くの日本の人々に、その知見、知識を共有するための媒介として「BLUER」が存在していくことを未来に描きたい。

西山俊。

2017年7月18日にポーランドで開催されライフセービング界の第2のオリンピックとして4年に一度行われる偉大なる大会「World Games 2017」へとまもなく旅立つ。

日本を背負って立つ「稀有なオーシャンマン」の活躍を、心より願う。

●Profile
西山俊(にしやましゅん)

1988年7月25日 神奈川県出身。2007年大学在学中にライフセービングブに入部した翌年よりオーストラリア留学、ライフセービング競技の花形でありもっとも過酷な種目「オーシャンマン」を始める。2009年に初の日本代表入りを果たして以降、同年に「オーシャンマン」全日本選手権準優勝、2011年には「オーシャンマン」全日本選手権初優勝。2013年にはライフセーバーとして消防士としての勤務も始動するも現在は競技へ集中し2015年、2016年「オーシャンマン」全日本選手権優勝は2連覇を達成。BLUER所属。

【備考】*JLA
日本ライフセービング協会
http://jla.gr.jp/

【協力】
この出逢いが奇跡であったのは、この結節点なる存在がいなければ出逢うことがなかったからである。
Special Thanks / Mr.Sakuramata by スポスタ 
http://www.spo-sta.com