なみある?塩田気象予報士が【8月の波】について語ってみた
暑い熱い日々が続いています。
お盆前ですが、すでにお腹一杯夏を感じている方も多いのではないでしょうか。
今年はチベット高気圧が日本付近まで張り出し、その下に太平洋高気圧がある。日本付近は厚い二枚布団を重ね掛けした状態が続き、猛暑酷暑となっています。今年は9月前半まで、ほぼ全国的に平年よりも気温が高い見通し。。。
さて、今回は、8月の波について。
大きくサイズアップする時には台風や熱帯低気圧によってもたらされる波がメインとなります。
台風の発生・接近・上陸ともに8月が一番多く、台風によってどのくらい波が上がるのかは、その位置や進路、大きさや強さ(hPa)によって変わります。
太平洋高気圧は背の高い安定した高気圧のため、基本的には台風がその中に入り込むことはありません。8月に日本付近に接近する台風は日本付近を覆う太平洋高気圧の縁に沿ってゆっくりと進み、南西諸島を通過、もしくは九州付近に上陸し、日本海へ抜けることが多いです。
ただし、太平洋高気圧は10日くらいの周期で強弱があるため、勢力が強く朝鮮半島付近の別の高気圧とつながった状態(鯨の尾型)から、少し勢力を弱め高気圧が切り離されることもあり、先日の台風13号はその間を進んだわけです。
前置きがずいぶんと長くなりましたが、
8月は台風のエネルギー源である海水温が最も高く、強さも大きさも最大級に発達しやすいため、太平洋側では広い範囲で台風からのパワフルな波がヒットすることがあります。
他の月に比べて高緯度で発生することが多く、発達した台風が太平洋高気圧の縁に沿って南の海上をゆっくりと西に進む場合、海上では吹き込む東~南東風が強まり、南東ウネリが少しずつ反応し始めます。そして、次第に南~南西ウネリにシフトして、南向きのポイントや台風ポイントと呼ばれるところで一気にサイズアップ。こういった場合にザ・デイが訪れます。
南西諸島付近へ進んだ後も、太平洋沿岸黒潮に運ばれて湘南までウネリが届き、十分なサイズの波が続くこともあります。
また、太平洋高気圧の張り出しが弱い場合は本州へ接近・上陸し、風も強まりハードとなり過ぎてサーフィンどころではなくなってしまう場合もあります。
一方、日本海側では台風の接近によって強まる北風による波が反応し。日本海まで進むと一気に南西~西ベースの波が強まりサイズアップします。
次に、台風からの恩恵がない日のパターン。
太平洋高気圧の強弱に関わらず、海上では吹き出す東~南東~南風が吹き続けています。太平洋側ではこの風によって東~南東ウネリが反応し、小ぶりながら遊べる波が続くところが多いです。
北日本では、低気圧の通過によって一時的にウネリが強まることもあります。
日本海側でもこの低気圧によって西ベースの風波や北ウネリが少しは反応して遊べる日もあります。
さて、オリンピックが開催される千葉・志田下では、台風13号が温帯低気圧に変わって日本の東海上へ進んだ金曜日の夕方でも南東ウネリがしっかりと残り、ムネ~カタ前後サイズの波が続きました。
ちょうど2年後のオリンピックの開催中は、全く波がないという可能性は低いですが、、、台風が最適なコースを進むなど、グッドウェイブがもたらされると良いですね。
また、日本全国、晴天の日は気温が上がる午後になると大気の状態が不安定になり、積乱雲が発達しやすくなります。
離れていれば白くてかわいいモクモク雲も、その下に入ってしまえば夕立ちや雷、突風に遭遇する可能性もあります。
特に午後からは、波だけでなく空も気にしながらのサーフィンを心がけると良いでしょう。
気象予報士
塩田久実