ヴォルテックス

 

台風が過ぎ去り、実家そばの河川が決壊し
父は無事だが避難勧告中、親戚は停電がつづく。

そしてここ東京。

澄みきった空気と快晴のもとで地元の子供たちが遊ぶ。
ひとたびテレビやネットでは、水没した家が映る。

目の前に見えているもの。

映像なのか真実なのか。

すべてが真実だとは思うが虚像のようにも思える。

真実を持って苦しむ身内の家族と、平和なる光景が同時に起こる。

すべてが可能性のある出来事だとすれば

世界の争いや飢えも、正しく、目の前に起こり得る。

自然の中に生まれ、生きとし生けるものを食べ

ときに自然に警告され、自然に浄化される。

人は自然の中にいる。

ただただ無力だが、宇宙のリズムとともにある。

いま大きな渦-ヴォルテックスの中にいる。

誰のせいでもない。

自然とともに生きるだけである。

Photo,words by Naoko Tanaka