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Update:202005.14ThuCategory : Namiaru?

なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。【雷】

一昨日5/12、台風1号が発生しました。昨年、2019年は元旦に台風1号が発生し、2月下旬には南~西~東日本に2号からの波長の長いウネリが届いたという珍しい記憶もあり、今年はようやく1号発生、という感じた方も多いのではないでしょうか。

【2011年~2019年の台風発生数】

ここ10年間では、2016年が最も遅く、1号の発生は7月に入ってから。次いで2011年が5/7ですから、3番目に遅い1号の発生でした。例年6月からは増えていきます。
今年の台風の傾向については、また次の機会に考察してみたいと思います。

さて、沖縄や奄美地方は今週になって梅雨入りしました。少しずつ夏が近づいてきたなぁと感じます。
その前に西~東日本でも梅雨がありますが。。。

この4日間は西~東日本では最高気温が25℃を超えたところが多く、昨日の関東地方は30℃超えとなったところもあり、5月に入ると、主に太平洋側では雷の季節の到来です。

ステイホーム週間GW最終日の夜は、関東近郊で雷雨となり、夕方から夜遅くまでが雷電が続きました。

太平洋側では雷の発生が圧倒的に多いのは夏ですが、5月ごろから徐々に増えていきます。
山岳や内陸で発生することが多い雷ですが、もちろん海沿いでも発生します。
落雷により命を落としたサーファーの事故も起きています。

今回は、冬は日本海側で多く、夏は太平洋側で多い、雷についてのお話です。

まず、雷の発生について。
積乱雲の中で様々な大きさや温度の氷の粒子がぶつかり合って、プラスとマイナスの静電気が発生し、雲の中に電気がたまっていきます。たまりすぎて堪えきれなくなると、地面に向かって放電されます。

稲妻は雷放電に伴う電光で、雷雲から光の玉が落ちてきて数十メートルで止まり、少し間をおいて次の光の玉がもう少し下へ進みます。次々と落ちる火の玉が少しずつ地上に近づき、ついに地上に到達すると、大きな電流が流れる道ができ、今度は雲に向かって大きな電光が戻っていきます。

次に雷の種類について。
雷は、雷雲を形成する上昇気流の成因によって分かれています。

① 熱雷
夏は強い日差しが地面付近の空気を熱し、上昇気流が強まり雷雲が発生。風が弱く、蒸し暑い日の午後から夕方にかけて起こりやすく、熱雷を起こす積乱雲は、大きさが10kmほど。移動距離も短く、影響を及ぼす範囲は比較的限られています。
また、冬は中国大陸で氷点下に冷やされた大気が、対馬海流(暖流)が流れ込む日本海へ吹き出すと、下から暖められて上昇し、雲が発生します。夏のような強い熱エネルギーは受けないため、天辺は5kmほどの高さですが、雲底も300~500mと非常に低く、集中的に落雷があります。一発しか落雷しないこともあり (一発雷)、夏よりも大きな電流が流れることが多いのが特徴です。

② 界雷(前線雷)
暖かい空気の下に冷たい空気が潜り込む前線付近で発生する雷。
夏に発生することが多いものの、前線によるため、季節に関係なく起こる。時間帯が決まっておらず、真夜中や明け方でも起こる。
寒気と暖気の気温差が大きいほど激しい上昇気流が生じるため、強い雷雨は、温暖前線よりも寒冷前線上に発生することが多く、前線の移動に伴い広い範囲に影響を及ぼします。

③ 渦雷
台風や発達した低気圧の中心付近に吹き込む空気によって、強い上昇気流を起こすために発生する雷。

④ 熱界雷
熱雷と界雷が混合した雷。

夏になると午前中は空のところどころにポコポコと浮かんでいた積雲が、午後になってから1時間ほどもかからない短い間にモコモコと成長していきます。あっという間に10kmを超える高さの、天辺がかなとこ状の発達した積乱雲に成長し、その下では夕立となり、落雷に見舞われることもあるわけです。

夏型の気圧配置が続いているときに起こる雷は、熱雷や熱界雷がほとんどで、2~3日続くことが多いのが特徴です。
北日本を通過する気圧の谷に伴って、上空に寒気が入り込み、大気の状態が不安定になって雷が発生しやすくなります。この寒気が通り過ぎるまでにおよそ3日ほどかかり、雷も3日ぐらい続くことが多くなります。「雷3日」という言葉を耳にしたこともあるのではないでしょうか。
日を追って、雷の発生時刻や強さなど微妙な変化が見られ、発生時刻は日を追うごとに約1時間ずつ早まります。

次に雷の性質について。
落ちやすい場所は、背が高い建物や尖った建物、金属類など放電が行われやすい物質です。
まれに、本人より背の高いものがない環境では人間に落ちることもあります。

また、雷の光と音に時間差があったとしても安全とは言い切れません。光速(30万/秒)と音速(約340m/秒)には大きな差はありますが、上空数百メートルからすると、雷が落ちる場所は近い可能性もあります。
その環境に雷が落ちやすい条件がそろっていた場合はとても危険です。

そして、樹木での雨宿りは非常に危険です。人体の方が電気を通しやすいため、樹木に直撃した雷が、近くの人を通って地面へ流れる可能性があるためです。

以上のようなことを踏まえ、海に入る前には、雷注意報が出ていないかを確認し、アクセサリー等の金属類は外す。
また、サーフィン中に電光や雷鳴があった場合には、速やかに海から上がる。
ということを心掛け、避難できる建物がない場合は、背の高い樹木や金属から離れてなるべく姿勢を低く保つなど、充分注意して行動なさってくださいませ。

5/14、39県で緊急事態宣言が解除されました。少しずつサーフィンができる環境が戻ってくると思います。
しかし、遭難し救助は必要になった場合はソーシャルディスタンスが保てなくなります。
雷以外にも安全確認を心掛け、サーファー皆さんが楽しい時間を過ごせるよう願っています♪

気象予報士
塩田久実