なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。【ラニーニャ】
台風14号は当初の予想よりもかなり南の海上を進みました。
結構なターンをきめて、秋には珍しく「お辞儀」するように南東へ進み、今後はさらに勢力を弱め熱帯低気圧に変わる見込みです。
偏西風に乗って温帯低気圧に変わりながら足早に北東へ去っていくというよくあるパターンとは異なり、偏西風の流れには到達せずに「お辞儀」コースを取るという。この予想進路を見て、日本ならではの文化を思い出してしまったのは私だけでしょうか。
今回、日本列島は台風の進行方向の左側(可航半円)にあたりますから、暴風による破損や倒壊など恐れはさほどありませんでした。
しかし、今後も秋雨前線と相まって降り続いた雨による土砂災害などの被害が起きませんよう祈るばかりです。
波は、、
太平洋側はここしばらくは東ウネリが続きそう。けれども北東~東風が吹き続くため、なみあるところでは風もくらいやすいでしょう。風をかわせるポイントへ。
日本海側は上がったり下がったりしながら、コンパクトな波で出来る日はありそうです。
さて話は変わり、夏ごろからラニーニャの気配が現れつつあったんですが、先月の気象庁エルニーニョ監視速報で「ラニーニャ現象が発生しているとみられる。」との発表がありました。
10/9のエルニーニョ監視速報でも、「夏からラニーニャ現象が発生しているとみられ、今後冬にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高い(90%)。」となっています。
ラニーニャ現象とは、南米ペルー沖、赤道付近の海域の海面水温が低い状態が続く状態となることをいいます。
9月のエルニーニョ監視海域(太平洋中部~東部)の海面水温は、平年よりも低く(基準値との差-1.1℃)、西部では高くなっていました。
また、太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動が、平年より不活発で、中部の下層の東風(貿易風)は平年より強く吹いていました。
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海洋と大気の状態は、まさにラニーニャ現象を示しています。
「ラニーニャ現象」の特徴→夏は暑く(猛暑)冬は寒い(厳寒)。
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ということで、この冬は寒くなる可能性が高くなってきました。
極寒、酷寒、厳寒、、、言葉を並べてみたら、南国へ脱出したくなりますが、海外トリップはこの冬はまだ厳しいだろうなぁ。
ということで、ここは寒さに負けず国内の波で乗り切るしかない!
「ラニーニャの年の冬の波」についてのお話です。
まずは、ラニーニャ現象時の日本の気温の傾向です。
秋は平年並みか暖かい確率が高いものの、冬になると平年より低くなる確率が高くなっていきます。
気圧配置は西高東低の冬型が強まる傾向となります。
以前、【冬の波】でもお話ししていますが、冬型気圧配置が強まると、大陸からキンキンに冷えた北西~北風(季節風)が吹き出します。
そうすると、日本海側はもれなくサイズアップ!
しかし、強い風と共に雪が強まるなど天候も大荒れになります。寒気がドバっと出た後は、次の寒気が溜まるまでしばし吹き出しが弱まり、等圧線の間隔が広がるため、この冬型が緩んで風が弱まるタイミングが絶好の狙い目となります。
が、冬型が続いて大荒れのコンディションが続き、北日本は大雪となり、なみある日が続いても海にたどり着くことも厳しくなってしまう可能性もあります。
一方、太平洋側は強い冬型となると、四国や近畿~東海、湘南などでは強い北西~北風(オフショア)にウネリの反応が弱い状態となってしまいます。
ただし、南の海上や北日本を通過して東海上に抜ける低気圧からの南~南東~東ウネリが一時的に反応したり、東海や湘南、千葉南部などでは海上で強まる西寄りの風によるウネリが入ることもあったり、千葉や茨城、宮崎などでは北~北東風による波なども。
そして、冬の一番の期待は、千葉以北での反応が主となりますが、遥か北東アリューシャン列島付近(低気圧の墓場)で猛発達する低気圧からの波長の長い北東ウネリの期待があります。
冬のハワイにビッグウェーブをもたらすあの低気圧です。
波長の長い波の特徴といえば、セット間隔が長くパワフルということ。
例えば、遥か南の海上で発達する台風からの南~南西ウネリは10分以上のセット間隔を開けながら、ウネリの筋がしっかりとある波がわかりやすく入ってきます。
アリューシャン付近から遥か長い距離をはるばる日本までやって来るわけで、超ビッグウェーブとはならず、また、日本の東の海上では北寄りの風が吹いていることが多いため、セットの合間には、北寄りの風による波長が長くない北~北東ウネリも入ってきます。
結果、波質は極上とはなりづらいですが、波数がそこそこありつつサーフィンできる波はある!なみある日は多い!という期待が出来ます。
ラニーニャだって100%極寒の冬になるとは限りませんが、早めに冬の道具の確認、準備などもいておいてもよいかもしれませんね♪
今回は少し早まり気味に冬の波についてお話ししましたが、まだまだ秋の波は続きます。
今後の傾向の変化があった時には、また冬の波のお話もしたいと思います。
気象予報士
塩田久実