<特集>週末を楽しむビーチトリップ Vol.2「SUMMER BEACH IN NORTH CHIBA」
3) 志田下ビーチ
志田下の愛称で知られる釣ヶ崎海岸。海に面する広場にクルマを止めて海へ向かうと、そこは“道場”と呼ばれる日本屈指のビーチが広がっている。道場と呼ばれる理由は、この場所をホームスポットとして切磋琢磨し、国内トッププロへの階段をのぼるサーファーを数多く輩出してきたから。そして「波がサーファーを育てる」という金言がある通り、志田下の波はクオリティーが高い。
「梅雨から夏にかけては、それほど波質はよくありません。横へ走っていける波というより、一気にブレイクしてしまう波質が多いのが特徴です。一度海が荒れると海底のコンディションは変わるので、現状のそのタイミングを待っているところですね。7月の台風7号も今ひとつ。南からのうねりは太東の岬や堤防でさえぎられてしまって志田下ではサイズが望めないんです。ただ、志田下でヒザというサイズでも、一宮へ行けば頭半サイズということも多々あるので、そのような状況にあることを頭に入れておくと波は当てやすいかもしれないですね」
志田下をホームとするサーファーで、近隣でリーズサーフショップを経営する鵜澤清永のアドバイスは貴重といえる。東からのうなりを広く拾い、南西の風がオフショアとなる志田下は、潮の満ち干きでも大きくコンディションを交わす敏感なポイントだともいう。
「梅雨があけると、うねりのパワーが次第に強くなっていくシーズンとなるので、地元のサーファーは気分があがってくるんです。台風が来て、海が荒れて、海底の地形が決まってくれば、志田下の本領が見られる条件が整います。そしてうねりが入れば国内チャンピオンや海外の試合を転戦しているトッププロが集結する、エキスパートによるセッションとなります。一般の人はサーフすることが難しいかもしれませんが、志田下はそのような腕に自信のあるサーファーが集う場所なんです」
志田下の本気の波とは、一気に掘れ上がる完璧なるチューブ。水量は多く、“ドーンッ!”という音が聞こえてくるブレイクには重厚さを覚える。さらに波による空洞を抜ければ、“当て込める壁”が長く長く続いていく。
“日本サーフィンの聖地”というと大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、しかし実際に志田下は、日本のサーフィンを形作ってきた人材を多く生み出してきた。だから国内でも指折りの波質。今も昔も「いつかはここでいい波に乗りたい」という思いを広く抱かせている。
@TAITO
4) 太東ビーチ
約66キロにわたる九十九里浜の南端にあたるビーチが太東。夏は海水浴場となり、県外からも多くの人が集まる場所として知られている。ロングボードのメッカとして年間を通じてサーファーで賑わい、波は他のビーチよりメロウで、初心者サーファーが練習するには格好のビーチとなっている。
「夏は南風の日が多くなるので、波のコンディションには期待できます」というのは太東で生まれ育ち、先頃パタゴニアのアンバサダーにも就任した河野正和プロ。国内チャンピオンに輝いた経歴を持つ、現在もバリバリのショートボーダーである。その河野プロいわく、夏に吹きやすい南風はストレートなオフショアとなり、太東では波質が大きく崩れることはないのだという。
南からのうねりが多くなる夏の日。堤防がうねりをさえぎり、一宮など他のエリアに比べ1サイズ小さくなってしまう太東。それでもほぼ毎日サーフできる程度には波はある。ただ現状の地形は今ひとつと、河野プロはいう。
「志田下の方へ行くと地形はいいのですが、太東はいわゆるダンパーの波が多いんです。そのなかでもシーイーグルの正面となる海には吉田さんがロープを入れていて、そこに砂がついています。今でも地形が良くて狙い目です。あとは台風が来ることで海が荒れ、海底の砂がかき回されればコンディションが上向く可能性はありますね
シーイーグルとは河野プロがサーファーとしての基礎を培った太東を代表とするサーフショップで、オーナーは吉田正さん。吉田さんは砂が堆積するように毎日沖合いにロープを出していて、波質を向上させる地形を作ろうとしている。
また夏から秋にかけては台風が発生し、グッドウェイブが待たれる季節。南から北上してくる台風が太平洋の東海上を駆け抜けていく時には、このエリアも恵みの波が味わえる。その頃合いが楽しみというのはロングボーダーの瀬筒雄太プロ。今は湘南・七里ケ浜に拠点を移しているが、6年にわたって太東に暮らした経験を持つ。
「海水浴場を仕切るために張られていたロープに砂がついて地形が良くなるんです。南西から北西の風がオフショアになりますから、秋口も波のコンディションは期待できます。11月くらいまでは十分にファンサーフが楽しめます」
海水浴場でありつつ、多くのプロサーファーを輩出し、世界大会も開催されてきた。ロングライドできる波質は上級者を満足させ、一方でビギナーも集める懐の深いビーチであることが太東の大きな特徴となっている。
@TAITO
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