初夏が来て、書店は“ビーチ”や“サーフ”の香りがたっぷり!
すでに気温30度を越える日もやってきて、沖縄や奄美ではすでに梅雨入り。となると関東で初夏を感じられるのはもう少し。しばらくすると梅雨がやってきて、いよいよ本格的な夏となる!
で、Tシャツで過ごせる季節の到来を告げるように、書店では海気分な雑誌がズラリ。最近では都会的な男性総合誌ながらビーチやサーフな香りを漂わせる雑誌も少なくなく、都心と海との距離がググッと縮まったような気分にしてくれる。
たとえば5月24日発売号が100号となるオーシャンズ(ライトハウスメディア)は、37.5歳の社会人を対象とする男性ライフスタイルファッション誌で、今もっとも勢いのある雑誌。
等身大目線が大いに支持をされて、読者をグングンと獲得。魅力のひとつは紹介するアイテムのセレクトにあって、ヴァンズといったストリートブランドを紹介する一方、エルメスなどの高級ブランドもチョイス。高級一辺倒でもストリート偏愛でもなく、どちらもほどよく誌面に盛り込んでいる。
そして同誌のウリが“ビーチ”を都市生活者へ向けて編集しているところ。単純に最新アイテムを紹介するだけでなく、ビーチカルチャーをテーマとするSEAWARD TRIPというコラムなどを設けて、しっかりと海と向き合うスタンスを発信している。
このオーシャンズと競合誌の関係にあるのがサファリ(日之出出版)。
ビーチやサーフの空気を全体に漂わせながら、オーシャンズとは異なり外国人モデルを起用した誌面づくりを展開。またカジュアルながらも高級ブランドが多くを占めるといったところに、読者の憧れを喚起させようとする方針がみられる。
“バカンス”“セレブ”“一流ホテルのスイートルーム”という上級志向の言葉をコピーに贅沢に盛り込んだゴージャスな世界観はサファリの真骨頂。ファッションやビーチといった同様のテーマを掲げながら、ここまで違う仕上がりになるのか、という雑誌づくりの奥深さを二誌からは感じることができる。
そしてリニューアルを果たし、サファリの弟分男性誌となったのがファイン(日之出出版)。
20代後半の男性を対象に、都市型ライフスタイルを提案する雑誌へ。もちろん海がキーワードとなるのはリニューアル前の号と同様。パラパラとめくれば、ファッション、海を感じる都心のショップ、アメリカ西海岸事情、コーヒーや植物について、といった“今どき”なコンテンツがずらり。
ファインを読んで年を重ねた時、次に手を取るのはサファリか、もしくはオーシャンズか、といった位置づけを意識しているような誌面づくり。リニューアル直後のために時代をリードするポジションは手にできていないと思われる一方、どこに活路を見いだすのか、今後の偏愛ぶりには期待が大きい。
巨大なサーフブランドが時代をリードする主流派に対して、独自の世界観を追求するオルタナ派が一定の支持を得るようになった2000年代。日本ではブルー(ネコパブリッシング)が、オルタナ派に支持される一冊に。
サーフブランド系ファッションを取り入れて間口を広げてはいるものの、漂う空気はけっこうカルト。一見さんはちょいと難しく、けれどこだわり派にはたまらない内容となっている。最新号はトランクスをドドーンと紹介。40ページを越えるボリュームは、ブルーらしい偏った愛情表現といえる。
同じオルタナ系でも、サーフよりファッションに力を入れつつ、海岸カルチャーを編集するのが昨年創刊されたコーストライン(ぶんか社)。昨年は2冊、今年も1冊がすでにリリース。今春の号ではカリフォルニアのビーチスタイルをテーマに構成。ファッション、サーフ、アート、ミュージックー、バイク、車に囲まれた最新ビーチライフが紹介されている。
ビーチを編集するうえでカリフォルニアというテーマはもはや永遠。日本から近く、海とファッションが共存する場所はカリフォルニアのみ。ハワイにファッション性は乏しいし、ヨーロッパは遠すぎて、漂ってきているとはいえアメリカ東海岸からのサーフの匂いはまだまだ弱い。
後発ながらカリフォルニアというテーマ性を掲げ、対象を30代男性とすることで、カブってくるファインやブルーとどう差別化をはかるのか。さらに30代後半も視野にいれるならオーシャンズやサファリも競合となる。となると、エルメスへアプローチするようなスケール感を狙うのか、それとも濃いコアな愛読者をギュッとつかむのか。いずれにせよリリースされたのはまだ3冊。日本の書店にもっともっとビーチな香りを漂わせてもらうためにも、今後を楽しみにしていたい。
最後は専門誌。プロ野球好きならベースボールマガジン。サッカー好きならサッカーダイジェスト。そんな具合で、ショートボーダーにはサーフィンライフ(マリン企画)、ロングボーダーにはナルー(エイ出版)とオンザボード(マリン企画)が愛読されている。専門誌というだけにサーフィンのエッセンスがグッと詰まっていて、サーフィン愛好家の読者に向けてリリースされている。
こうしてみると、専門誌からライフスタイル誌まで、コアからマスまで“ビーチ”と“サーフ”は重要なキーワードになっている。海はだいぶ自宅から近くなった。そんな時代が来ていると教えてくれる各誌なのでした。
OCEANS
http://oceans-ilm.com
Safari
http://hinode.co.jp/?page_id=63
Fine
http://hinode.co.jp/?page_id=81
Blue.
http://www.blue-mag.com
COAST LINE
http://www.bunkasha.co.jp/book/b108415.html
SURFIN’ LIFE
http://www.surfinglife.jp/surfinglife/index.html
NALU
http://www.sideriver.com/ec/products/detail.php?product_id=18617
ON THE BOARD
http://www.surfinglife.jp/ontheboard/index.html