いつか役立つ!かまくら(スノーマウント)の簡単な作り方
かまくらというのは雪で作った家、スノーハウスである。
調べてみるともともとは神事であり、子供たちが中に入ってもちを食べたり遊ぶようになったのは明治30年以降の事のようだ。
「雪が降ったから、雪合戦や雪だるま、かまくら作って遊ぼう」というあなた、実はかまくらを作るのは結構難しいのだが、覚えておけばきっと役立つ時が来るので紹介しよう。
今回、緊急時を想定して、非常に簡単なかまくらの作り方をご紹介。
厳密にいうとスノーマウントの作り方となるのだが、完成した姿はかまくらそのまんまである。スノーマウントの作り方であれば、1人用の小さい物から10人近く入れるものまで、自由に作ることが可能。
必要な道具もスコップとツエルト(小型軽量テント)かタープなどの布状の物さえあれば簡単にできてしまう。
子供たちに作ってあげれば秘密基地として喜ばれるだろうし、中でお酒を買ってきて宴会をするという楽しみ方もできる。
天井に換気用の穴を作れば中で火も使えるので、調理もできるし、暖をとるのにもちょうどいい。
<かまくら(スノーマウント)の作り方>
① 雪崩の危険がなく、風がなるべく吹かない平らな地積にスコップで穴を掘る。スコップがなければ鍋でも皿でも何でもいい。この穴は後々居住空間になるところだ。穴は一人なら深さ1mくらい、半径1mくらいでいい。人数によって大きくする。要は全員入れる大きさをイメージして作ればいい。(写真は4人が横になれるよう大きめのスノーマウントを作っています。)
② 穴が完成したら圧雪していないふわふわの雪、もしくはザック等空間を作れるものを入れて、雪をかぶせる。雪はふわふわのままこんもりと盛って内部空間となるべきスペースを作る。盛って小山のようになった雪にツエルトをかぶせ、外壁となる雪をかぶせる。ツエルトが「ここまで掘り進んでも良い」という内部空間と外壁部分の境目の目印になる。外壁部分となる雪は盛り終わったら頑丈なスノーマウントにするためスコップでバンバンと外側から叩いてしっかり固める。
③ 十分に固めたら横穴を開け、埋めた中のザック、ふわふわの雪を外に出す。ツエルトが見えるまで掘り進み、中の空間を確保する。
④ 最後に天井一番上に換気用の空気穴を作り、中に入って入り口を雪かザックでふさげば完成だ。入口は大きいと崩れやすくなるし、寒いので滑り込める程度の大きさでいいだろう。中は外が-20度だろうが無風状態なので0度近くに保たれる。
中で火もたける。料理もできる。
気を付けるべきは天井の一番高いところに換気用の穴(直径5cmくらい)をあけること。暖かい空気は天井近くにたまり天井部分をとかし崩落させてしまう。少し寒くても一番上は必ず開けよう。
以上がスノーマウントの作り方で、雪質を選ばず簡単に作れてしまう。
また遊びとしてではなく、遭難時の緊急用シェルターとしての効果も高く、雪とスコップさえあればできてしまう。
スキー場のコース外を滑っていて遭難したパーティーがかまくらを作って凍死を免れ救助されたニュースは記憶に新しい。
スノーマウントは保温効果が非常に高く雪の中ということで冷凍庫を連想されるだろうが、中はプラスマイナス0度前後に保たれており風の影響も受けない。
登山の熟練者になると、冬山にテント類は持っていかずテントの代わりにスノーマウントを作ってその中で食事、就寝してしまう猛者もいる。
重い割にスノーマウントより保温性の劣るテントを担ぐより、テントを持っていかずスノーマウントを作ったほうが装備も軽いし温かいという合理性を追求した結果である。
非常時でも遊びでも何かと使える、かまくら(スノーマウント)作り方を覚えて遊びに登山にとぜひ実践してみてほしい。