Update:201607.14ThuCategory : BLUERマガジン

車泊の旅へ。北村吉代|プロサーファー|バックグラウンドストーリー


車泊の旅へ。
北村吉代|バックグランドストーリー

Words by Naoko Tanaka , BLUER EDITOR
Photos by Stream Trail


北村吉代。
プロサーファー。

北村プロがいう「車泊(しゃはく)」というスタイルにBLUERが確固たるシンパシーを感じたのは昨年の晩夏のことだ。

九州にトリップに行くという話を聞きつけ記事にすることを決めた。

それは、北村プロにとって初めてとなる「旅の記録」を同時進行させることができ、またその車泊ドキュメントを、BLUERを介し、多くの人に伝えることができれば素晴らしいことだと感じたからだ。

こうして、「車泊の旅」のドキュメンタリー企画は実現した。*参照

2016年を迎えてからは、この企画を本格的にやっていこう、ということになった。

北村プロにとっては、前述のように、「旅の記録を残す」という作業。そして、BLUERにとっては、「車泊」というスタイルが一層、興味深くなり、もっと多くの人に見ていただきたいと感じたからだ。

何が興味深かったのか。

「車で寝泊りする」のは、朝待ちするサーファーとかスノーボーダーなら、少なからずやったことがある行動だと思うが、ある意味で、どんなアウトドアよりも、そのスタイルが先進的に感じられたからだ。

世の中で、キャンプが大流行しているのは、周知のとおりだ。

アウトドアメーカーのテントやキャンプ用品が飛ぶように売れ、「お値段以上。」のニトリでさえ、新聞チラシは家具を差し置いてアウトドア用品を全面に打ち出している。

車で言えば、キャンプの好景気と足並みを揃えるように、キャンピングカーが流行、また車は大きなキャンピングカーからハイエースやキャラバンなどにダウンサイジングされた普通車のスペースを、キャンピングカーのように利用する人も増えてきている。今年はともにそんなトレンドがイベントなどでも最高潮になっている。

今やリタイヤしたシルバー層の楽しみなどではなく、若年齢化し、一般の人が楽しむ傾向が見られる。

そんな中、キャンピングカーや内装が行き届いた車が豪邸だとすれば、北村プロは、トイレも風呂もない4畳半の「家」で旅行する、というのだから、とてつもないアドベンチャーなスピリッツを「車泊」から感じとった。

装飾したものは、いずれシンプルなベクトルに向かう、という世の常だ。そんな原始的なスタイルが、逆に、新しいではないか。BLUERは、この「車泊」の旅を、当初、新アウトドア・スタイルとして提案し、車泊の仲間が増えたらいい、と考えていた。

しかし、企画をすすめるうち、キャンピングカーのようにキッチンやトイレやエアコンまで付いている豪邸とは違う、4畳半の状態で「ここに泊まろうよ、、」というのは極めて酷(こく)なことであると気づいた。当たり前だが、夏は猛暑、冬は厳冬。当然、風呂もなければトイレもないのだ。

道の駅や設備の整った一角を借りて車泊を楽しむ人が増えていることはたしかだ。

しかし、基本的には必要に迫られない限り、過酷な車の条件で寝よう、などとは思わないし、その必要性がない。だから今では、皆にこう発信していこうと考えている。

「車泊」は究極の旅である。

1泊2日ではない。この旅を2週間も3週間も続ける北村吉代はプロサーファーであり、愛犬とともに生きる旅人。車で旅することがもはや「日常」なのだ。

波を求め、常に愛犬との時間を大切にするという必要性に迫られ、「金銭的価値観」より「挑戦」を優先する。誰もが長期間、休んでこの旅ができるわけでもない。それは、ある意味で金銭に困らないよう、仕事を優先しているからだ。

しかし、冒険者は生活が苦しかろうが、意思を貫く。

決して金のかかる旅はしない。お金をかければ得られるサービスを一切排除し、あえて苦労と覚悟の旅をする。

自分たちにおきかえれば、キャンピングカーも、キャンプも、おしゃれな道具を揃えることや、環境がととのったオートキャンプ場に行くことが目的でなく、本当に機能的な道具だけを最小限に携えて、その先にあるリアルな自然や苦労とともに旅の素晴らしさを体験し、喜怒哀楽の”心”が動いたときが、真なる目的の達成である。

そんな究極の”冒険者”北村吉代プロの一貫したスピリッツを「車泊」と定義。だからBLUERの「車泊」は、安直に車での宿泊を勧める企画では、今やない。

徹底した北村スタイルをフォローし、物質にとらわれない「”感動”を体験するための車泊」を、もっと提案・発信しつづけていこうと思う。

まずは1泊でも2泊でもいい。あまりにプリミティブで精神的な幸せと感動を得る、この「車泊の旅」の仲間が増えることを願い、BLUERはプロサーファーとしての北村吉代と、そして究極のライフスタイルのフォローを、これからもつづけていこうと思う。

*参照:GO WEST!! 柴犬ラニとの片道1,300kmロードトリップ
<第1話>出発編
<第2話>旅の達人編
<第3話>1,700km突破!? 編
<第4話>ありがとう九州編
<最終話>3,600km走破・総集編


SPECIAL THANKS:STREAM TRAIL
http://www.streamtrail.tokyo

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