超ニュートラル思考
ふと先日、パーカーをご購入予定のお客様から「これは女性ものなのか、男性ものなのか」というお問合せがあり、「なぜ書いていないのか」というご指摘があった。
それは様々なアイテムが入ったHappy Bagとよばれる商品で、迂闊にも、個々のパーカーの紹介ページには細かなサイズ記載があったのだけれど、そこにはサイズすらも記載がなくS,M,Lの表記のみという不備があった。
大いに反省をして、すぐにサイズ表を掲載したのだけれど、はて『女性もの、男性もの』という区分けが実はあまり思考になかった。そのため「女性でも男性でもサイズでお好きに選択なさってください」と答えさせていただいた。
この画像のジュエリーもそうだ。
このiconを企画したとき、個人的に「いいよね」というものを作った。大振りのジュエリーや時計が大好きでもあるし、存在感があってお守りのような感じがして、単にそれだけで、なんの他の思考も入れず作った。当然、男性がしてもいいし、女性がしてもいいと思ったし、自分が好きで作って楽しく着用もしていた。
ところが数か月たったある日、近しいアドバイザーからこう言われた。
「この大きいのは女性はしないから、小さいジュエリーを作らないと誰も買わないわよ」。
え?そうなの? まあ確かに男性のご購入がほとんどだった。
私にとっては、なんでだろうね、と思いながらも、アドバイスがもっとものように理論調整して、あわててミニサイズを作り、おかげさまで今ではショップにならんでいる。
でも今では、それは不要だったかも、と思っている。
こぶりでキラキラして、ゆらゆらした女性のジュエリーは、世の中にたくさんあって、あえてBLUERが作ることもなかろう、、と思うからだ。よほど、それが大好きなデザイナーが、その繊細さや輝きを表現していると思う。
最近、よく目にする「Neutral-ニュートラル」という単語がある。
ちょっと先進的ね、と思えるショップなどに行くと、物理的にトイレが3つ4つと、複数あるのに、あえてMEN,WOMENなどとわけずにNeutralとしている。
ジェンダーがいずれにもあてはまらない人たちの人権が、たしかに認められるようになってきた昨今だからこそのものかと思う。
BLUERが作るジュエリーは、そのようなNeutralもそうだが、ブランドのポリシーから言えば、「超ニュートラル」という思考にあると考えている。
肉体ではなく精神の世界において、あまり区分けがなく生きている人がいる。そう。それは私なのだけれど。
昔からあまり自分のジェンダーを強調して社会を生きてこなかったこともあって、当然、生物として動物としてのジェンダーとは深くお付き合いしているし、自分の性別も嫌いじゃないし、むしろ好き。ただ超越した感覚とでもいうのかな。それが「超ニュートラル」。そういう思考を手に入れると、世の中は楽に生きられると思う。
モテたいとか、キレイに見られたいとか、そういう思考もなくはないけど、総論では、自分。自我。ユニークネス。
それが楽なんじゃないかと思う。
何を言っているかわからない人にはわからないと思うけれど。それでいい。
Neutral. なんだか心地よい世界。これからもそれがBLUERの世界観だと思う。
田中菜穂子
Naoko Tanaka by BLUER